技術・家庭科とラジオ
-教材としてのラジオ-
Radios as Teaching Material
1948-


INDEX

技術・家庭科のはじまり

3球ラジオ 
  教材用3球ラジオ メーカー不明 1969年頃 (1978年組立)
  スター3R-DA1型 教材用ラジオ  (株)富士製作所 1961年
  スター3R-1型   教材用ラジオ  (株)富士製作所 1968年頃
  
説明用ラジオ、実験装置

  手作りの展開式並四球受信機
  Kent説明用ラジオ受信機       (株)内田洋行 科学器部 1960年頃
  MS式説明用ラジオ           金子製作所         1960年頃
  真空管の働きを示す実験器     (株)島津製作所       1964年頃
  真空管の働きを示す器        (株)島津製作所       1966年頃 

<参考>アメリカ製の学習教材
  ELEC-TRONIC Set Model T-200,  Science Electronics, INc. (U.S.A.) 1955年 

技術・家庭科におけるラジオのその後

  メイトMT-201SK型     2石トランジスタラジオキット 明治図書販売(株)教材部門 1973年頃 
  実習で製作された8石スーパー               東海大学高輪台高校生徒 1976年 (NEW)
  HOMER IC-202型     AMスーパーラジオキット   (有)共和製作所        1979年 
  ナイスキット FM-9000 FM/AM2バンドラジオキット    東京半導体工業(株)     1980年

学校教育以外の教材用ラジオ 

  ヒノデ G-180S型   ゲルマニウムラジオ        日の出電工(株)  1960年頃
  ミニマン S-201型 ゲルマニウムラジオ          ミニマン商事(株) 1960年頃 
  学研付録 ゲルマラジオ                   (株)学習研究社  1975年
  スターSR-100型 2バンド5球スーパー          富士製作所    (1963-75) \8,050
  Best MR-510型 5球スーパーキット            メーカー不明   1960年代

電子ブロック (NEW)

  
学研電子ブロック 電子ボードSR1A    学習研究社/電子ブロック機器製造(株) 1972年
  学研電子ブロック EX-60    学習研究社/電子ブロック機器製造(株) 1976年

参考文献 (NEW)

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技術・家庭科のはじまり

 1947年に職業科として始まり、1951年に産業教育振興法が制定され、職業・家庭科に再編された。
この動きにあわせて各社から教材用ラジオキットが発売された。初期の教材用ラジオの広告を下図に示す。

 
リーダーズダイジェスト日本版 1950年7月号

 この松下電器のラジオキットは、写真を見る限り国民型受信機ベースにキットとしたもので、キャビネットまで付いた立派なものである。
国民型受信機そのものの高一4球、並四、後に教材の主流となる3球ラジオの3種類があったことがわかる。
これを見ても、「並3」という表現がこの時代になかったことがわかる。
かなり高価な教材だったと思われるが、実際に授業で使われたものだろうか。この時代の教材ラジオはもう1点存在が確認されている。


学校放送 第6号 1950年4月

 NHKの教師用テキストの裏表紙に掲載された広告である。大手理化学機器メーカの島津製作所の製品である。
図がないので形態は良くわからないが、説明文から判断すると、回路別のユニットになっているようである。
後のスター製品の原型かもしれない。

 1953年に理科教育振興法、翌54年度から理科教育設備基準の制定によって、施設設備の充実が図られた。
1958年からスプートニク・ショック以降の科学技術振興のために改訂が検討され、1962年から男女別のコースに分けられ、技術・家庭科となった。
木工、金工、原動機などとともに電気もカリキュラムに取り入れられ、屋内配線や照明器具の知識を教えると共にラジオ工作が行われた。
1960年代後半になると、誠文堂新光社から参考書が発行された。

  
(左)1967年初版(写真は1976年の11版)   (右)1969年初版

 これらの参考書は、指導要領に従った内容だけでなく、中学校レベルよりかなり高度なものまでかなり幅広い内容を含んでいる。
これ以外にも同社から裏表紙をブルーで統一した参考書が1970年代まで多数発行されていた。
単に授業の参考書というより、科学クラブのメンバーや、ラジオ少年たちに愛読された。

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3球ラジオ

 教科開設当初から実習で取り上げられたラジオは、5極管グリッド検波、5極管増幅の3球ラジオだった。
戦前の「3ペン」を6.3Vとした、6C6-6ZP1-12F のラジオで、「並3ラジオ」と呼ばれた。
ちなみに、戦前は「並四」はあったが「並三」という言葉は一般に使われなかった。
ST管は、指導要領が検討されていた1958年には、すでに最新ではなかったが広く使われていた。
サイズが大きく、組立が容易なことから、mT管が普及してからも使われた。
1960年代後半にはmT管を使用した6BD6-6AR5-5MK9の構成になったが、ソケットはST管の穴に合わせたmT管ソケットが使用されていた。

教材用3球ラジオ 1969年頃

 
 (所蔵No.11090)

 教材用3球ラジオはキットの形で各社から発売されていた。
通常はこのようにシャーシのみを組み立てるもので、パネルやキャビネットは用意されないことが多かった。
これは1960年代の製品だが、組み立てられずに残っていたものを1978年頃に組み立てたもの。
(所蔵No.11090)

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教材用3球ラジオ スター3R-DA1型 (株)富士製作所 1961年
  
   梱包された未使用のキット、小さな箱に部品が詰め込まれている。写真はスピーカを出したところ。

  
 20mmピッチの穴が開けられたシャーシに、検波、増幅、電源回路を組み立てるようになっている実習用のラジオ。
メーカはスターコイルで有名な富士製作所である。6C6-6ZP1-12Fの3球で紙フレームのマグネチックを駆動する。
完成するとこのように積み重ねた形になるが、作業中はそれそれのシャーシを独立させて学習する。
このシャーシは、実験用の汎用シャーシとして使うこともできる。同社ではこのシャーシや部品を使った製作記事を多数発表していた。技術家庭科が始まる前の製品のため、箱の表示が「理科教育用」となっている。

(所蔵No.11691)

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教材用3球ラジオ スター3R-1型 (株)富士製作所 1968年頃

  

 20mmピッチの穴が開けられたシャーシに、検波、増幅、電源回路を組み立てるようになっている実習用のラジオ。
完成するとこのように積み重ねた形になるが、作業中はそれそれのシャーシを独立させて学習する。
このシャーシは、実験用の汎用シャーシとして使うこともできる。先に紹介した「技術家庭科電気教室」には、このシャーシを使った製作例が多数紹介されている。
本機は、mT管を使ったこのモデルの最終型である。初期型はマグネチック・スピーカを使用しているため一回り大きい。
mT管を使っているが、作りやすさのためにST管サイズのソケットを使っている。

本機のツマミおよび左右のアルミフレームはオリジナルでない。

(所蔵No.11681)

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説明用ラジオ、実験装置

 教育用に、板の上に回路図を表示し、部品を展開した説明用のラジオセットや、実験用の装置が製作された。
こうした説明用機器には、専門学校や大学などで使用する、テレビを畳1枚くらいの面積に展開したような大掛かりなものもあった。
博物館や専門の教育施設では、専門業者に特注したものが使用された。
電気製品のメーカが製作して寄贈したものもあったようである。
学校の現場では当初は手作りであったが、後に専門の理化学機器メーカによって市販品が製作されるようになった。
学習指導要領に従った理科教材は、1953年に制定された「理科教育振興法」により購入に対して補助金が出ることになった。

 これらの教材には、高圧のB電圧が手に触れられる部分にかかっている。
それなりの配慮はあるが、警告表示などはまったく無い。現在では考えられないが、安全に対する思想は時代によって変化する良い例である。

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  手作りの展開式並四球受信機  製作者不明         1948年頃
  Kent説明用ラジオ受信機     (株)内田洋行 科学器部 1960年頃 高一付4球
  MS式説明用ラジオ         金子製作所         1960年頃 高一付4球
  真空管の働きを示す実験器   (株)島津製作所       1964年頃
  真空管の働きを示す器      (株)島津製作所       1966年頃

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 4球式交流受信機 (手作りの展開式並四球受信機) 製作者不明 1948年頃
  

 
 終戦直後のものと思われる、60cm角の板材の上に57-56-12A-12F の並四球受信機を組み立てたもの。
手書きの説明や回路図が丁寧に描かれている。トランス左下に図書用のラベルを使った整理票が貼られていて、「物理、R」の文字が読める。
製作者や所属は不明だが、学校で使われたもののように思える。
壁に架けられるようにはなっていない。机上に置いて使ったもののようである。
手作りの粗末なものだが、技術教育にかける熱意のようなものが伝わってくる教材である。

本機は左上のバリコンとコイルが失われている。また、57のグリッドキャップが破損している。
(所蔵No.11773)

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 Kent説明用ラジオ受信機 (株)内田洋行 科学器部 1960年頃
   

 
 学校用機器メーカの内田洋行が製作した、高一4球ラジオの説明用受信機。6D6-6C6-6ZP1-12F の構成である。
信号の種類が色分けされている。あくまでも説明用で部品を交換したり信号を観測したりする実験を行うようには作られていない。
学校名などの表示はなく、中学校で使われたものかどうかは不明である。
(所蔵No.11315)

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MS式説明用ラジオ 金子製作所 1960年頃 高一付4球
  

 
 上のセットより大型の高一受信機の説明用ラジオ。6D6-6C6-6ZP1-12F の構成である。
抵抗やコンデンサはチップ端子に取り付けられ、簡単に取り外せるようになっている。
各部の電圧測定、波形観測、部品の変更など、詳細な実験ができる。
中学校の技術家庭科ではなく、工業高校や専門学校などで電子回路の授業や実験で使用されたと思われる。
(所蔵No.11030)

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 真空管の働きを示す実験器 (株)島津製作所 1964年頃

 

 理化学機器の老舗、島津製作所が製造した真空管の動作を実験するための装置。
二極管KX-12Fによる整流回路と、三極管UY-76による増幅回路が組み込まれている。
交流電源、整流出力、増幅回路の入出力端子が設けられ、二極管と三極管の動作を理解するための実験ができるようになっている。
電源スイッチにはロックしないブザー用の押しボタンが使われ、必要な時以外、高圧がかからないように安全上の配慮がなされている。
中学校か高校の理科/物理の授業で使用されたものと思われる。後にmT管を使用したセットにモデルチェンジされた。
(所蔵No.46027)

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真空管の働きを示す器   (株)島津製作所 理化器械部 1966年頃
 上の実験器具で使用していたST管が入手困難になったため、モデルチェンジしたセット。
真空管をmT管の6AV6、5M-K9 に変更している。
2極管と3極管の動作を実験できることに変わりはないが、この機種は真空管を変更しただけでなく、スイッチと端子を追加して平滑回路のパイ型フィルタの効果、オシロスコープのリサージュ機能を使って真空管のEp-Ip, Eg-Ip 曲線を観測することができる。
多機能になったため、旧型の押しボタン型電源スイッチは、普通のスナップスイッチに変更されている。
シャーシは木製から鉄製に変更されている。手前のビニールパイプは、90度回転させると、本体を垂直に立てて使うときの脚となる。
5インチのマグネチック・スピーカが付属しているが、これはオシロで増幅作用を観測するときのマイクとしても使用する。
理科教育振興法による認定章が表示されていて、中学校か高校の理科/物理の授業で使用されたものと思われる。
このような実験器具は、工業高校など、工作設備や実験担当の専門職員が揃っている学校では汎用のシャーシを使って手作りされることも多かった。
(所蔵番号No.46029、委託展示品)

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<参考>アメリカ製の学習教材

  ELEC-TRONIC Set Model T-200 , Science Electronics, INc. (U.S.A.) 1955年 

  

  

 これは1950年代のアメリカ製トレーニングキットである。電池管1T4を使い、安全のために電源は乾電池である。
ボール紙の台紙に回路図を記載した台紙を載せ、部品をおいて回路を作っていくようになっている。
15種類の回路を構成できるようになっていて、ラジオ、送信機、モールス練習器を作ることができる。
半田付けの必要が無く、何度も組み立てなおせるように専用コネクタをピンにはさんで配線する。
パンフレットには、多くの大学や高校で採用された実績が掲載されている。
この時代、少年向けだけでなく、学生や社会人向けに多くのエレクトロニクスの通信教育が行われていた。
このキットはその一つだが、安全性や使いやすさ、応用性など考えられた内容になっている。
(所蔵No.11880)

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技術・家庭科におけるラジオのその後

 1970年代に入ると真空管は過去のものとなり、トランジスタを中心に教えられるようになった。
3球ラジオはトランジスタやICを使用したラジオキットに置き換えられた。

メイトMT-201SK型 2石トランジスタラジオキット 明治図書販売(株)教材部門 1973年頃

   
 

 2-Tr: 2SC372 2SC735

 教科書会社、明治図書が技術家庭科の教材として販売した2石ストレートラジオのキット。
設計は、文部省認定の通信教育を行っていた技術教育研究所である。
ポケットサイズのラジオだが、基板はゆったりと設計され、生徒が組み立てやすいように配慮されている。
箱の表示から、1972年4月より実施された文部省新学習指導要領(詰め込み教育として有名)準拠となっていることがわかる。

本機は、組み立てられている。紙箱の裏には名前を記入する欄があり、「3年9組20番 山口○○」の記載がある。
かなりの大規模校であったようである。
基板はねじ止めするようになっているが、ねじは使われていない(箱の中に袋に入って残っていた)。
これは、教諭が仕上がりを採点するために固定させなかったものであろう。はんだ付けの腕はやはり稚拙である。

(所蔵No.12090)

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 HOMER IC-202型 AMスーパーラジオキット (有)共和製作所 1979年
IC2:μPC1018C, LA4140

 ICを2個使用したラジオキット。1970年代末にはラジオキットもICを使ったものが現れた。
これは都内の公立中学校で技術家庭科の実習に使われたものだが、キットをそのまま組み立てるのでは難易度が低いため、生徒がプリント基板を製作してオリジナルのラジオを組み立てる授業が行われた。
これは逆に難易度が高すぎ、パターンのミスや半田付けの不良でICを壊すことが多く、ほとんどの生徒が鳴らせなかった。
トランジスタを使ったものであればもう少し壊すことは少なかったと思われる。
大きめの基板を使ったためにオリジナルのケースは使わなかった。
(所蔵No.12086)

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実習で製作された8石スーパー 東海大学高輪台高校生徒 1976年
  
8-Trs. , DC6V (UM-3 X4), BC:535-1605kHz,

 工業高校の実習で製作された8石スーパー。
キットを組み立てるだけの中学校の授業と異なり、プリント基板を自作し、ケースも各自オリジナルを工夫して作っている。
市販のケースは高価だったので、弁当箱に組み込んでいる。
プラスチックが薄いため割れやすいのが欠点である。
丈夫で密閉できるため、タッパーウェアをケースとして使うことも広く行われている。
(所蔵No.12199)

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ナイスキット FM-9000 FM/AM2バンドラジオキット 東京半導体工業(株) 1980年

 

 ICを使用したFM/AMのセミポータブルラジオキット。
東京の工業高校の実習で使われたもの。
(所蔵No.12054)

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 真空管時代はせいぜいグループで1台くらいしか作れなかったが、低価格化によって一人に1台のキットを与えることができるようになっていた。
ラジオではなく、電子ブザーなどの機器を製作する学校も多かった。


1977年の技術家庭科教科書に掲載された1石ラジオの回路図
主な内容は「増幅器の製作」で、ラジオは「参考」として掲載されている(全国職業教育協会編 開隆堂より)

 1993年には男女別に分かれていた技術・家庭科の共修が始まり、電気の領域は男女必修となった。
その後「ゆとり教育」により時間数が削減され、2002年の指導要領改訂により、学習内容からラジオが削除された。
しかし、現在でもラジオキットの組立を取り上げる学校はあるという。

 理科や技術科の授業を通してラジオ工作に親しんだ生徒は多かった。
少年時代、自分で作った鉱石ラジオや3球ラジオから音が出たことに感動した少年たちの中から、現在、日本のエレクトロニクス産業を支えている優秀なエンジニアが多数生まれている。
ラジオを聴く、ということは別になんでもないことだが、自分で組み立てたラジオから遠くの放送が聞こえてくるということは、達成感と共にその動作に対して高い知的好奇心を呼び覚まされるように思う。
コンピュータを使う情報教育も必要だが、ラジオ工作の教育的価値は、携帯電話などの電子機器がブラックボックス化する中で、より高くなっているように思う。

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学校教育以外の教材用ラジオ

 ラジオ教育の特徴としては、学校よりも、個人の趣味で工作に取り組んだり、成人教育の一つとして通信教育による修理技術やラジオ技術の講座によってラジオの基礎を学ぶことが多かったということである。多くのエンジニアが、少年時代にラジオ工作に取り組んでいた。アマチュアによる工作が電子工業に与えた影響については文献(1)に詳しい。ここでは、学校教材用ではないラジオキットなどを紹介する。

 ヒノデ G-180S型 ゲルマニウムラジオ 日の出電工(株) 1960年頃

 

 1950年代から1960年代にかけて、初心者向けのラジオ製作を解説した書籍が多数発行された。
その中で代表的な著者が、NHK技術研究所に在籍した杉本 哲氏である。
このゲルマラジオは、杉本氏の「やさしいラジオ読本」の付録として販売されたもの。
日の出電工は、ゲルマラジオや1-2石のトランジスタラジオなど、初心者向けのキットを多数生産していた。

(所蔵No.12084)

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ミニマン S-201型 「ファイター・ラジオ」 ゲルマニウムラジオ  ミニマン商事(株) 1960年頃 

  

 中小メーカが製作した飛行機の形をしたゲルマラジオ。受信するときは立てて使う。
機体裏側の飛行機の車輪に相当する部分がダイヤルとなっている。
わに口クリップの先端にプラグの刃が付いたリードが出ていて、これをコンセントの片側に挿して電灯線アンテナとして使う。
現代ではとても許されない危険な構造である。
同社は、このほかにロケット型、ペンシル型、こけし型等、さまざまなユニークな形状のゲルマラジオを発売していた。
価格は\1,500から\2,000くらいで、当時としては高価な玩具である。

(所蔵No.,m12005) (広島県 岡本様寄贈)

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 ゲルマニュームラジオ 6年の科学1975年9月号付録 (株)学習研究社

 

 伝統ある学習雑誌の付録として配布されたラジオキット。
手前のアルミ板2枚がバリコンとなり、スパイダーコイルとゲルマニュームダイオードでラジオを構成する。
半田付けしなくて良いようにエナメル線の撚り合わせとネジ止めだけで組み立てられるように工夫されている。
スパイダーコイルは児童が自分で巻く必要があった。巻き枠は普通のスパイダーコイルより広いピッチとされ、作りやすくなっている。
巻き枠が赤いモデルもあった。
同社の付録では1968年からゲルマ・ラジオが付録として用意された。
その後1990年代までいろいろなモデルが用意されたが、コイルを自作するモデルはこの年が最後となり、その後は「作る」要素が減っていった。
「科学」の付録にてついては学習研究社のサイトへ。
この付録で初めて「ラジオを作る喜び」に触れた児童も多かっただろう。

(所蔵No.11685)

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 スターSR-100型 2バンド5球スーパー 富士製作所 (1963-75) \8,050

   

 コイルで有名な富士製作所が初心者向けのオールウェーブラジオとして、米国ハリクラフター社のS-119型をモデルに製作した2バンド5球スーパー。
完成品と、キット(SR-100K)が用意された。
本機は(財)ラジオ教育研究所の文部省認定通信教育「ラジオ工学講座」の教材として用意されたもので、カリキュラムに合わせて3段階に分けて組み立てるようになっている。
最初にST-1(0-V-1 \5500)を購入し、3球ラジオを組み立てる。
次にST-2 (高一4球 \800)のキットを購入し、高一受信機を組み立てる。
最後にST-3 (5球スーパー \1750)のキットを組み立てて本来のSR-100を組み立てる。
途中で不要となるコイルなどの部品が含まれるため本来のSR-100K(\5,900)より割高である。

(所蔵No.11085)

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Best MR-510型 5球スーパーキット メーカー不明 1960年代

  

 小型の5球スーパーキット。真空管ラジオのキットとしては最後の頃のものと思われる。
このようなキットは、ラジオ少年の趣味として個人で組み立てられることも多かったが、通信教育や工業高校などの教材として使われることもあった。

(所蔵No.11516)

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電子ブロック

 愛知県警で交通取り締まり装置の改良に独学で取り組んでいた警察官、野尻孝氏が警察を退職し、自らのアイデアを実現すべく今でいうベンチャー企業を立ち上げた。
1965年、その電子ブロック機器製造(株)が、電子部品を四角いプラスチックのケースに収め、専用のシャーシに並べることで様々な電子回路を実現できるようにした教育玩具を発売した。
玩具としては高価で、大人には人気があったが、子供が簡単に買ってもらえるものではなかった。
1972年に学習雑誌で有名な学研と提携し、「学研電子ブロック」として大々的に販売されるようになった。
電子ブロックは、モデルチェンジを繰り返しながら販売が継続されたが、1986年に生産中止となった。
2002年にEX-150型の復刻モデルが学研から発売され、現在に至る。電子ブロックの概略については(2)参照


学研電子ブロック 電子ボードSR1A    学習研究社/電子ブロック機器製造(株) 1972年

  

 ラジオなど、16種類の回路実験ができるセット。 1968年に電子ブロック機器製造が発売したモデルを学研と提携後に箱のデザインを変更して学研ブランドとしたもの。
初期のDRシリーズと比較して廉価版となっている。

(所蔵No.12200)

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学研電子ブロック EX-60    学習研究社/電子ブロック機器製造(株) 1976年

  

 学研が中心となって開発された新世代の電子ブロック。コストを抑えて買いやすくするため、実現できる回路数が最も少ないEX-15からはじまり、30, 60, 120, 150という6種類が用意された(型番の数字は回路数を示す)。
透明だったブロックを緑色にするとともに、本体を、当時流行していたラジカセやBCLラジオのようなメカニカルな雰囲気としたことでヒット商品となった。
ブロックは一つずつ別売され、回路数の少ないモデルをアップグレードすることができた。

(所蔵No.12201)

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参考文献

 (1)ラジオの歴史 -工作の<文化>と電子工業のあゆみ- 高橋雄造著 法政大学出版局 \4,800+税
 (2)雑誌 昭和40年男 Vol.18 2013.4 (株)クレタパブリッシング \680

   

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