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初期のスピーカ展示室

1921-29


CONTENTS

解説編

スピーカ展示室

参考文献


関連のページ

鉱石受信機 (別ファイル)

電池式受信機 (別ファイル)

型式証明受信機及び付属品 (別ファイル)

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解説編


ホーン・スピーカの概要

スピーカの基礎となる技術である受話器は電話の開発の中で完成していた。また、ホーンは楽器で古くから開発され、蓄音機でも実用化されていた。最もポピュラーなホーンスピーカは電話用と同じ電磁型受話器のユニットを上向きに題材に固定し、ホーンを付けたものである。周波数特性は狭く、大音量を出そうとするとひずみやすく、音は良くない。米マグナボックス社は可動コイル型の大型ホーンスピーカを開発し、Telemegaphoneと名付けた。現代のスピーカの原型となるダイナミックスピーカの元祖である。フィールドコイルで励磁するためにフィールドエキサイタ電源が必要になり、本体も大きく、高価になるため大半のスピーカは電磁式(マグネチック)だった。1920年頃、ホーンの研究がウェスタン・エレクトリックなどによって進み、エクスポーネンシャル型ホーンを応用したスピーカが発売された。

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コーン・スピーカの登場

1925年にG.E.のC.W. Rice とE.W. Kellogg が直接放射型コーン・スピーカの論文を発表し、特許を取得した。論文では"New Type of Horneless Speaker"と表現されている。Rice-kellogg またはRice & Kellogg 式と呼ばれるダイナミック・スピーカが現代につながるコーン型スピーカの最初とされる。

多くのコーン型スピーカは動電式(マグネチック型)で、ユニットに台座を付け、現代とは逆にコーン紙の尖ったほうを前に持ってくるデザインが主流だった。ウェスタン・エレクトリックの560AW、540AW(通称「陣笠」)が有名である。RCAが1926年にキャビネットに入ったスピーカーシステムとして106型を発売した。同様のユニットがブランズウィック社の電蓄にも採用され、バッフル板やキャビネットの有効性が実証された。1920年代後半からは、スピーカーユニットをバッフル板やキャビネットに取り付ける形が一般的になる。

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ホーン・スピーカからコーン型へ

1920年代半ばにはコーン紙を使ったスピーカが開発され、米国では1920年代半ばにはホーンから移行し始めたが、当初はコーン型スピーカが高価だったため、旧型のホーン・スピーカが価格を下げて廉価版として併売されていた。日本でも似たような状況で、レシーバのユニットを流用できるホーンスピーカが低価格化し、小型のものでは定価3円というものも登場した。交流式ラジオが普及し始める1930年代はじめには、スピーカ付きで20円を切るような低価格の普及型ラジオ用に無名メーカのホーン・スピーカが使用された。

フラワーボックスのブランドで多くのホーン・スピーカを発売していた七欧無線電気商会は、1931年のカタログ(3)にも多くのホーン・スピーカを掲載していた。その冒頭の文章は次のとおりである。

今は見かえられないとは云え短波アマチュア局や一般船舶局等の高声器受信にはコーン型とは異なりかえってよい成績を得られるので愛用されております。又鉱石セットを用い放送局の至近距離に於いて行う「鉱石ラッパ」式の場合は此種スピーカが成績よろしい。(漢字及び仮名遣いを現代式に修正)

このように、電信を受信する無線局のモニター用として一定の需要があったことが伺える。

本項では、1920年代の電池式ラジオ時代のホーン・スピーカとコーン型スピーカを紹介する。

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スピーカ展示室


外国製品(U.S.A.)


The Rola Company

Rola Re-creator type B 1924年

The Crosley Radio Corporation

Crosley Super Musicone コーン型マグネチック・スピーカ 1925-27年 $12.70

Freed-Eisemann Radio Corp

Freed-Eisemann FE-50型 1924年頃 

The Magnavox Company

Magnavox Type R-2 model B 1923年頃 

Magnavox R-3型 1925年 型式証明第41号

Magnavox M-4型 1924年  $25 

RCA Products: Radio Corpolation of America

RCA Model FH Loud Speaker 1923-25年

Radiola Loud Speaker UZ-1325  1924-26年 $25.00(1924) 型式証明第46号

Radiola Loud Speaker Model 100 (UZ-915) コーン型マグネチック・スピーカ 1925年 $39

Western Electric Company Inc.

Western Electric 10-D 1922-23年 $55.00


外国製品(U.K.)


Sterling Telephone & Electric Co.

Sterling Baby高声器 1925年 型式証明第48号

Sterling Dinkie 1925年頃


ATM "Claritone"  ホーンスピーカ Automatic Telephone Manufacturing Co., Ltd. (U.K.) 1924年 


外国製品(Germany)


N&K スピーカ Neufeldt & Kuhnke Kiel (Germany) 1925年頃


日本製品


Diamond製品 山中無線電機製作所

ダイヤモンド1号型高声器 1929年 9.00円 放送協会認定品

ダイヤモンド3号型高声器 1930年 15.00円 放送協会認定品


T.M.L.製品  村上研究所

グランドボックス中型高声器 グランド無線研究所 1929-31年 9.50円 放送協会認定品

マスコット高声器 村上研究所 1926年頃 (NEW)



センター高声器 センター電機製作所 1927年頃

シンガー印フォンB型 三共電機工業(株) 1929-31年 16.00円 型式証明第124号/放送協会認定品

シンホニー高声器 日本ニウトロン(株) 1929-31年 14.00円 放送協会認定品

M.U. ボッシュ ラジオラ型 森田製作所 1929年 


Lloydvox製品

ロイドボックス高声器 メーカ不明 1927年頃

スペシャル・ロイドボックス高声器 小林 1927年頃


Flowervox製品 Gairystrong Inc. / 七欧無線電気商会

フラワーボックスNHA-1型 Gairystrong Inc. 1926年頃 35.00円
  総代理店:七原無電商会、製造元:七原商会、販売元:七欧無線電気商会

フラワーボックスNH5号マイクロホン型高声器 七欧商会 1929年-32年 14.00円 放送協会認定品

フラワーボックスNH6/NH8/NH9号高声器 七欧商会 1929-33年頃 9.50/6.50/18.00円(1931) 型式証明第151号/放送協会認定品(NH6型)

フラワーボックスNHA/NHB/NHC型高声器(後期型) 七欧商会 1929-33年頃 17.00/14.50/9.50円(1931) 放送協会認定品(NHC型)

フラワーボックスNH2号型高声器 七欧商会 1929年 13.00円 放送協会認定品

フラワーボックスNH7号型高声器 七欧商会 1929-32年 9.00円 放送協会認定品


ニューホーム高声器小型 メーカ不明 1929-30年頃 

ウェスタン・ベビー高声器 メーカ不明 1928年頃 

National Super Horn 1928年頃 National Radio Corporation

メロディコン高声器 コーン型マグネチック・スピーカ 三田無線電話研究所 1928年頃 


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外国製品(U.S.A.)


Rola Re-creator type B 1924年 ホーン・スピーカ The Rola Company 1924年

  

 
日本製のコピー品(フラワーボックス:右)と

アメリカ製品を代表するホーン・スピーカの一つ。口径12インチの小型のモデル。上位機種に14インチのA型があった。Speakerという言葉がマグナボックス社の特許の関係で使えなかったため、Re-creator と称した。日本ではラジオ放送開始期に多く輸入されただけでなく、無数のコピーが作られた。七欧のフラワーボックスはその代表的なものである。

(所蔵No.m10006) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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Crosley Super Musicone マグネチック・スピーカ The Crosley Radio Corporation 1925-27年 $12.70 

  

クロスレーのマグネチック・コーン型スピーカ。鋳物の台座以外のフレームはプレスで量産され、低価格を実現した。Super Musicone は、16インチの大型のモデルである。Standard Musicone として12インチのモデルが標準型として存在した。当時主流のホーンスピーカに対して音質の良さを宣伝していた。比較的低価格だったため、クロスレーの受信機とともに日本にも多く輸入された。

本機は、コーンの変形および脱落が見られる。

(所蔵No.10076)

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Freed-Eisemann FE-50型 1924年頃

  

初期のニュートロダイン受信機で知られるフリード・アイズマン社のスピーカ。蓄音機のホーンのようなウッドホーンである。

(所蔵No.10044)

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Magnavox Type R-2 model B 1923年頃 The Magnavox Company  1923年頃

  

 

真空管がない時代にカーボンマイクと昇圧トランスを組み合わせて拡声器とした"Telemegafone" TS-2型をラジオ用に転用したモデルがこのR-2型である。ホーン・スピーカで一般的なマグネチック型ではなく、可動コイル型(ダイナミック型)である。フィールドコイルで励磁するために6Vのバッテリーが必要である。18インチの巨大なホーンを備えるモデルをラジオ用として家庭向けに販売するというのはさすがにアメリカであっても無理があった。日本では初期のラジオの公開実験などに本来の拡声器に近い使用法で使われた実績がある。このモデルはごく初期のホーン・スピーカとして、また、ダイナミック・スピーカの初期のモデルとしても意味がある。

(所蔵No. 10101)

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Magnavox R-3型拡声器 The Magnavox Company (U.S.A.) 1924-25年 型式証明第41号 $35.00

  

ダイナミック型の大型ホーンスピーカ。この形式のスピーカを生み出したマグナボックスを代表するモデルである。本来、この "Telemegaphone" シリーズは、真空管が実用化される前にカーボンマイクと組み合わせてP/Aシステムとして開発された。このR-3は、巨大なR-2型を一回り小型にしてラジオ用として販売したものである。しかし、口径30㎝を超えるダイナミックスピーカは家庭用としては大きすぎた。型式証明まで取って輸入販売されたが、大半はイベントや店頭用などの業務用として、本来の拡声器に近い使われ方をしたと考えられる。

(所蔵No.S10021) (柴山 勉コレクション)

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Magnavox M-4型 ホーン・スピーカ The Magnavox Company  1924年  $25

  

 

口径28cmの、アメリカ製のものとしては比較的小型のホーン・スピーカ。マグネチック・スピーカであるが、同社はこれを"Semi-dynamic"と称して、エキサイト用の電源が必要なダイナミック型より扱いやすいことを売りにしていた。手ごろな大きさと比較的低価格であったこのモデルは日本に多く輸入された。

(所蔵No.10065)

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RCA Model FH Loud Speaker Radio Corpolation of America : RCA (1923-25) $36.50

 

RCAは、レシーバ式のものか、ホーンスピーカを自蔵したラジオを多くラインナップしていたが、1923年モデルから、スピーカを持たないセットを多く発売するようになり、スピーカが必要になった。このFH型スピーカは、RCAブランドで最初に発売されたホーンスピーカである。口径が約35㎝ある大型スピーカである。実際の製造はウェスチングハウス社で行われたが、複雑な構造が災いして生産性が低く、製品の供給にも問題があった。このため、GEが生産した一回り小型のUZ-1320型が用意され、同じ価格で併売されるようになった。UZ-1320型は1924年9月に改良型の低価格モデルUZ-1325型にモデルチェンジされたが、FH型は大型の上位モデルとして1925年2月まで販売が継続された。このため、多くの種類のRadiola受信機と組み合わせて使用された。

(所蔵No. 10067)

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Radiola Loud Speaker UZ-1325 Radio Corpolation of America : RCA 1924-26年 $25.00(1924) 型式証明第46号

 

AR-812型と同時代に発売されたホーンスピーカ。AR-812だけでなく、同時期の多くのRadiola受信機と組み合わせられただけでなく、他の輸入受信機や国産の型式証明受信機とも組み合わされて販売された。RCAが発売したホーンスピーカの最後のモデルであり、翌25年には100型コーンスピーカ(UZ-915)が発売された。新しいコーンスピーカは39ドルと高価だった。このためUZ-1325は、25年2月に価格を18ドルに値下げして1926年末まで販売が続けられた。

(所蔵No.10066)

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Radiola Loud Speaker Model 100 (UZ-915) Radio Corpolation of America : RCA 1925年 $39

 

Radiola 20、25と組み合わせられるスピーカ。RCA初のマグネチック・コーンスピーカである。金属性キャビネットに12インチのユニットを収めている。"Electrical Tone Clarifier" と呼ぶフィルタを備えている。このスピーカは、1927年に小型の100-A型にモデルチェンジされた。

(所蔵No.10045)

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Western Electric 10-D 1922-23年 $55.00

  

AT&Tの子会社のウェスタン・エレクトリックが発売したストレートネック型の高級ホーン・スピーカ。マグナボックスの特許の関係で Loud Speakerではなく、Loud Speaking Telephone Outfit と称している。

(所蔵No.S10037) (柴山 勉コレクション)


外国製品(U.K.)


Sterling Baby  Sterling Telephone & Electric Co. (U.K.) 1925年 型式証明第48号

 

英国の電話機メーカが開発したホーンスピーカ。大型のオーディオヴォックスと小型のディンキーの中間のモデルで、サイズが日本では使いやすく、数多く輸入され、輸入受信機や型式証明受信機と組み合わされて販売された。標準的なモデルは黒色だが、この花柄模様は日本で特に人気があり、多く輸入されたほか、日本の多くのメーカにコピーされた。スターリングは1926年にマルコーニに売却され、以後、マルコーニのラジオ機器を生産するようになるため、スターリングのスピーカーやレシーバは短期間で市場から姿を消した。その後、日本で人気のあったスターリングのスピーカは、多くのコピー品が昭和初期まで生産を続けたのである。

(所蔵No.S10011) (柴山 勉コレクション)

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Sterling Dinkie Sterling Telephone & Electric Co. (U.K.) 1925年頃

  

英スターリング社のスピーカの中でもっとも小型のもの。日本では花柄の人気が高かったが、本来の色はこの茶色と黒である。

(所蔵No.S10012) (柴山 勉コレクション)

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ATM "Claritone" ホーンスピーカ Automatic Telephone Manufacturing Co., Ltd. (1924)

 

英国製の中型ホーンスピーカ。英国放送会社(BBC:後の英国放送協会)の認定を受けている。
本国ではポピュラーな製品だが、日本にはわずかな数しか輸入されなかった。

(所蔵No.10072)

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外国製品(Germany)


N&K スピーカ Neufeldt & Kuhnke Kiel (Germany) 1925年頃

  

レシーバで知られるドイツ、N&Kのスピーカ。寄木細工で作られた”お椀”を2つ重ねた形になっていて、背面中央にホーンドライバが取り付けられている。トランペットスピーカに見られるフォールデッド・ホーン型スピーカである。

本機は、海外ではあまり一般的ではないが、日本からよく発見される。大量に輸入されたのかもしれない。
本機は、近年修理されている。リード線はこの時交換されたと思われる。ユニットに表示された向きが90度回っている。実際にはリード線が下から出る向きに取り付けられるのが正しいと思われる。

(所蔵No.10107)

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日本製品


アンナカボックス (株)安中電機製作所 1929年2月認定 1931年5月休止 11.00円

 

 日本の無線界のパイオニアである安中電機製作所(現アンリツ)が製造したホーンスピーカ。安中が型式証明時代にラジオをつくっていたころ、レシーバは作っていたがスピーカは作っていなかった。これは、安中がラジオ本体から撤退した後の製品である。世の中がコーンスピーカに移行し、比較的早く製作中止となっている。

(管理No.K10002) (個人蔵)

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ダイヤモンド1号型高声器 山中無線電機製作所 1929年2月認定 9.00円

  

後にテレビアンのブランドでラジオの一流メーカとなる山中電機が初期に使っていたダイヤモンドブランドのホーンスピーカ。英DULCIVOXのコピーである。

(管理No.K10004) (個人蔵)

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ダイヤモンド3号型高声器 山中無線電機製作所 1930年2月認定 15.00円

  

山中のホーンスピーカだが、米マグナボックスM-4型のコピーである。

(管理No.K10006)  (個人蔵)

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グランドボックス中型高声器 グランド無線研究所 1929-31年 9.50円 放送協会認定品

 

後に「ワルツ」ブランドでスピーカの代表的メーカを作る村上得三が個人名で認定を受けたモデル。米DULCIVOXのコピーである。この頃はワルツでなく、このグランドボックスを始め様々なブランドを使っていた。メーカはT.M.L. (Tokuzo Murakami Laboratory の意か)と表示されている。当時の広告にはグランド無線研究所の名前が記載されている。同社はこの他にも発注先によってさまざまなブランドを使い分けていた。

(所蔵No.10073)

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マスコット高声器 村上研究所 1926年頃

  

後に「ワルツ」ブランドでスピーカの代表的メーカを作る村上得三が作った初期のスピーカ。多くのメーカが模倣したRola model B のコピーである。ユニット収納部がオリジナルはメッキなのに対して黒塗装となっているのが珍しいが、よくできている。村上は多くのブランドでホーン・スピーカを製作したが、"PRODUCT OF T.M.L. " と記されている。なお、創業当初の社名については不明な点が多く、ここでは後の村上研究所として表記した。

本機は、ワルツの創業家に残されたものを多くの資料とともに寄贈いただいたものである。

(所蔵No.m10008) 安曇野市 村上様寄贈

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センター高声器 センター電機製作所 1927年頃

  

後にマグネチックスピーカの代表的メーカとなるセンターのホーンスピーカ。上のグランドボックスと形状がほぼ同じだが、これはコピー元が同じであることを示している。米DULCIVOXのコピーである。

(所蔵No.S10028) (柴山 勉コレクション)

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シンホニー高声器 日本ニウトロン(株) 1929年2月認定 1931年5月休止 14.00円 

  

 

 

鉱石ラジオのメーカとして知られる日本ニウトロンは、昭和初期になるとニウトロンブランドで電池式ラジオ本体と、シンホニーブランドでホーン・スピーカも製造するようになった。同社は認定の取得に特に熱心だったようである。

(管理No. K10007) (個人蔵)

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シンガー印フォンB型 三共電機工業(株) 1929年2月認定 1931年5月休止 (昭和3年規定)

   

昭和初期に金属キャビネットのラジオの大量生産に乗り出すことになる三共電機の初期の製品の一つ。米ローラ製品のコピーである。このスピーカは、型式証明と同時に放送協会認定も取得している。

(所蔵No.S10024) (柴山 勉コレクション)

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エム・ユー・ボッシュ ラジオラ型 森田製作所 1929年 

  

堂々と「ラジオラ型」を名乗るRCA UZ-1325型のコピー品。かなり忠実にコピーしている。RCAのコピーにボッシュと付けてしまうセンスにはあきれるばかりだが、当時は舶来品のコピーは犯罪ではなく、本物の広告と並べて割安な品物として堂々と広告されていた。このメーカは、「粗悪なまがい物にご注意」という広告まで出している。

(所蔵No.S10025) (柴山 勉コレクション) 掲載誌:ラヂオの日本、昭和4年7月号広告

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ロイドボックス高声器 メーカ不明 1927年頃

 

英国風のブランドだが日本製の中型ホーン・スピーカ。このような鋳物の台座は中級のスピーカによく見られる。

(所蔵No.S10003) (柴山 勉コレクション)

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スペシャル・ロイドボックス高声器 小林 1927年頃

  

英国風の日本製スピーカ。英国向けの独ジーメンス製品のコピーである。台座の丸いマークはオリジナルではBBCマークであったが、コピーの際には自社のマークに置き換えられた。

(所蔵No.S10024) (柴山 勉コレクション)

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フラワーボックスNHA-1型 Gairystrong Inc. 1926年頃 35.00円
  総代理店:七原無電商会、製造元:七原商会、販売元:七欧無線電気商会

  

後に七欧のスピーカとして知られるようになるFlowervoxの最初のモデルである。口径14インチの大型のスピーカである。米Rola製品のコピーであるが、広告には堂々と「ローラー型」と謳われている。本家と同じように口径14インチのNHA型と12インチのNHB型、わずかに寸法が違うNHC型が存在した。

この時代の日本製部品の例に漏れず、フラワーボックスにも販売元と製造元と総代理店という複数の企業が複雑に関係している。Gairystrong Inc(ゲイリーストロング商会)については、七欧無線電気商会の七尾菊良が、町工場から持ち込まれたバリコンを舶来品に見せかけるために米Gilfilan Bros. Inc. の"GB"のマークに似せた名前を付けるために作りだしたブランドという(1)。会社としての実体はなかったものと思われる。型番の"N.H."は、製造元の七原から取られたと思われる。日本のラジオ産業はこのように個人商店と町工場が組んで舶来品のまがい物を作るところからスタートしたのである。

(所蔵No.S10009) (柴山 勉コレクション) 掲載誌:無線電話昭和2年9月号広告

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フラワーボックスNH5号マイクロホン型高声器 七欧商会 1929年5月認定 1932年11月休止 14.00円 (昭和3年規定)

 

後にナナオラで知られることになる七欧商会がフラワーボックスブランドで製造したユニークなダブルボタン型マイクの形をしたスピーカ。米KODEL社製品のコピーである。

(所蔵No.S10013) (柴山 勉コレクション)

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フラワーボックスNH6号型高声器 七欧商会 1929-33年頃 9.50/6.50/18.00円(1931) 型式証明第151号/放送協会認定品(NH6型)

 

エクスポーネンシャルホーンを採用したユニークな形状のホーンスピーカだが、ドイツTEFAG社製品のコピーである。サイズの違いにより6型(口径11インチ)、8型(口径9インチ)、9型(口径14インチ)の3種類があった。番号が口径順になっていないことに注意が必要である。型式証明を取った6型が先に発売され、形状が異なる7型を挟んで時間が経ってから8型と9型が追加されたと思われる(写真は8型)。

中間のサイズの6型のみ型式証明と放送協会認定を受けている。この機種が証明を受けた1929年にはラジオが型式証明である義務はなくなり、受信機の型式証明を取るものはいなくなっていたが、スピーカやレシーバなどで受ける者はいた。この機種は放送協会認定もほぼ同時に取得していたが、これは型式証明も放送協会認定も同じ逓信省電気試験所で試験したため、どちらかの試験に通れば、両方のライセンスを受けるのが容易だったためと考えられる。

(所蔵No.S10006) (柴山 勉コレクション)

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フラワーボックスNHA/NHB/NHC型高声器(後期型) 七欧商会 1929-33年頃 17.00/14.50/9.50円(1931) 放送協会認定品(NHC型)

  

後にナナオラで知られることになる七欧商会がフラワーボックスブランドで製造したホーンスピーカ。米Rola製品のコピーである。メーカ自身がローラ型と称していた。これは後期型で、表記がゲーリーストロングからNanao Radio MFG. Co., に変わっている。フラワーボックスのホーンスピーカの中で最もポピュラーなモデルである。サイズの違いで口径14インチのA型、12インチのB型、11.5インチのC型があった。B型とC型の口径の違いはわずかだが、その違いだけでは説明できない大きな価格差がある。廉価版として各部が異なっていると考えられる(写真はNHC型)。

本機は台座の錆がひどい。

(所蔵No.10106)

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フラワーボックスNH2号型高声器 七欧商会 1929年5月認定 13.00円

  

後にナナオラで知られることになる七欧商会がフラワーボックスブランドで製造したホーンスピーカ。形は米ROlaのコピーだが、花柄の模様は当時人気のあった英国スターリング社のベビー型のコピーである。正面のホーンには花が、外側には葉が描かれている。スターリングはこの時代にはラジオから撤退したので文句は出なかっただろう。英米の人気商品の良いとこどりをしてしまった、著作権が確立されていない時代ならではのコピー商品である。

(管理No.K10001)  (個人蔵)

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フラワーボックスNH7号型高声器 七欧商会 1929年5月認定 1932年11月休止 9.00円

  

フラワーボックスのスピーカの中では小型の廉価版である。安価ではあったがこのサイズにはより安価な無名の粗悪品も多く、売れなかったのだろう。早い段階で製作休止となっている。これはドイツ、ジーメンス社製品のコピーである。

(管理No.K10003)  (個人蔵)

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ニューホーム高声器小型 メーカ不明 1929-30年頃  3.00円

  

当時人気があった英スターリングの花柄模様のスピーカをコピーしたもの。安価で人気があったモデルだが、メーカは不明である。これはもっとも小型のモデルだが、大中小の3種類が販売されていた。ニューホームが良く売れた昭和初期には、すでに本家スターリングはラジオ機器から撤退していた。

(所蔵No.S10010) (柴山 勉コレクション)

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ウェスタン・ベビー高声器 メーカ不明 1928年頃

  

上のニューホーム同様、英スターリングのコピー品だが、こちらは米ウェスタン・エレクトリックとスターリング・ベビーを組み合わせたブランドを付けてしまっている。しかもWesternではなくWestanと間違ったスペルである。加えて、ご丁寧にも"MADE IN LONDON" とまで書いてある。マーク自体はスターリング社に似せてあるが、スターリングが火花を握りしめているのに対し、親指が開き、人差し指が伸びているところが異なる。

本機は、ユニットが付く台座下側が失われている。

(所蔵No.10111)

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National Super Horn ホーンスピーカ 1928年頃 National Radio Corporation

  

ナショナルを名乗る国産のホーンスピーカ。ただし、当時ナショナルのブランドは二葉商会が使用していたが、同社の製品とは異なり、二葉を示すFECの表示がなく、ロゴや英文の会社名も異なる。正体不明のナショナル製品である。二葉の初期の製品という可能性もある。これも米ローラ製品のコピーである。

(所蔵No.10051)

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メロディコン高声器 三田無線電話研究所 1928年頃 16.00円

 

デリカのブランドで知られる三田無線が作った初期のコーンスピーカ。国産品としては最初のモデルと考えられる。米クロスレーのミュージコンのコピー品である。米国製がフレームを1枚の板からプレスで打ち抜いているのに対し、この機種は5つの部品を多数のリベットとネジで組み立てている。米国製のオリジナルの6掛けで販売されたが、それほど利益は取れなかっただろう。大型のプレス機や良質な鉄板ができなかった日本の技術レベルの限界を示している。上位機種としてファミリコンが存在した。

(所蔵No.S10036) (柴山 勉コレクション) 掲載誌:三田無線タイムス第五号

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参考文献


 (1) ラヂオ産業廿年史 岩間正雄編 無線合同新聞社事業部 1943年
 (2)オーディオ50年史 日本オーディオ協会編 1986年
 (3)七欧ラヂオブレテン 1931年版 七欧無線電気商会
 日本無線史 第11巻
 Radio Manufacturers of 1920's Vol.1-3, Alan Douglas, Vestal Press (U.S.A.) 1991
 ヴィンテージラジオ物語 田口達也著 誠文堂新光社 1993年

         

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