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ミゼット型受信機
 -1931-36


解説

ラジオのデザインの変化
ミゼット受信機の回路と真空管
社会状況とラジオの普及
参考 物価の目安


ラジオ展示室

ミゼット型受信機展示室 (更新)

参考文献

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ラジオのデザインの変化

当初ラジオはスピーカーと本体が別れていた。エリミネーター受信機が普及する1928年頃からスピーカーがラッパからケース入りのマグネチックスピーカーになり、1931年頃からラジオ本体と、上に載せていたスピーカーボックスを一体化したものが現れる。1932年頃までは、従来型のスピーカべったいのセットと、一体型のセットが混在している。アメリカではキャビネットの形状から砲弾型のものを"Cathedral"、角型の縦型を"Tombstone"と呼び、特に小型のセットを"Midget"と呼んだ。日本では、本体とスピーカーを一体化した受信機を一般に「ミゼット型」と呼んだ。ミゼット型の代表的な形が、いわゆる「砲弾型」の天部が丸くなった形のものがある。砲弾型はアメリカでは1929年頃に登場したが流行した時代は比較的短く、徐々に角型のデザインになっていった。日本ではラジオの歴史が5年遅れて始まったことから、アメリカでの流行が圧縮されて伝わることになった。このため、1932―3年頃の日本製ラジオのデザインは砲弾型や、俗に宮型と呼ばれる天部が社の屋根のような形のもの、角型のものなどがほぼ同時に入ってきて混在することになった。

   
1933年に発売されていた国産ラジオの例

1930年代前半は、大恐慌後の不況下で、低価格のラジオが求められていた。放送局が各地に設置され、送信出力も大きくなったことから3球再生検波のラジオでも実用になる地域が増え、中小メーカの製品を中心に低価格のラジオが市場に現れ、普及が進んだ。

経済力が低い当時の日本ではラジオは一家に1台だけで、大半の家庭ではテーブル型の中型ラジオが使われていた。音楽番組が少ない状況では、小数のラジオ付き電蓄を除けばコンソール受信機はほとんど存在しなかった。縦型のキャビネットが一般的になった1935年頃には、都市部ではラジオが行き渡り、東京などでは飽和状態に近づく地域もあった。このため都市の比較的富裕な中流階級に向けて、2台目需要を狙うため、ペントード検波3球式の特に小型に作られたセットが発売されるようになった。こちらのことを特に「ミゼット型」と呼ぶこともある。このような小型ラジオはアメリカではパーソナル・ユースとして個室で使われることが多かった。

  
1935年頃の小型ラジオの例

部品の小型化に伴って、特別小型に組んだセットや、AC100Vにつなぐ必要があるもののポータブルとした小型セット、電気スタンドと組み合わせた特殊な形のラジオなど、様々な形のラジオが作られるようになったが、普及することはなかった。

小型の金属シャーシの組み立てはアマチュアや設備が不十分な零細業者には技術的に難しく、従来のスピーカーが独立したエリミネーター受信機や、キャビネットはミゼット型でありながら木製シャーシを使ったセットが1930年代後半まで作られた。

ミゼット受信機の回路と真空管
 
技術面を見ると、交流用真空管が普及し、三極管227によるグリッド検波、三極出力管112Aの低周波増幅1段、112B整流の3球再生式と、少し高級な247Bによる抵抗結合ペントード増幅の3球式、低周波を226-112Aのトランス結合2段とした4球再生式受信機で、マグネチック・スピーカを鳴らすものが、庶民に普及したラジオであった。低周波増幅まで226を使用したものも多い。

より上級なものは224-224-247B-112Bの高周波1段付き再生検波4球である。本来、高周波増幅にはバリミュー管の235を使うことが望ましいが、高価だったためか、大半のセットで検波管と同じ224が使われている。

より高級なモデルとして235-235-224-247B-280Bの高周波2段5球式などがあり、ダイナミック・スピーカ付きのものも現れた。高級なセットにはピックアップ端子が設けられ、蓄音器を接続して簡易型の電蓄とすることも行われた。高価で高い技術が必要なスーパーヘテロダインはほとんどなかった。

社会状況とラジオの普及

 世界恐慌以後の景気後退の中、1931年の満州事変、翌32年の上海事変が勃発し、日本は戦争の時代に入る。515事件などの要人暗殺事件や共産党の弾圧など、暗い時代ではあったが、そのためもあって野球や流行歌、トーキー映画などの新しい娯楽が広い支持を受けた。1931年に100万を突破したラジオ聴取者は、2年後の33年には170万を越えた。

 都会では高い普及率に達したが、電気すらない地域が多かった農山村での普及率は低く、全国平均では1932年にやっと10%を突破した程度である。

参考

<物価の目安> 1933年(昭和8年)
小学校教員の初任給55円、鉛筆1本3銭、タバコ(ゴールデンバット)1箱7銭、もりそば1杯10銭
対ドルレート 1ドル=4~5円

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ミゼット型受信機展示室


ミゼット型受信機(縦型) (あいうえお順) 

アリア(ARIA) 27号B型シャーシ 4球再生式 ミタカ電機製作所 1935年 シャーシ卸\7.80 

オリオン(Orion)2号 4球受信機  東京電気(株) 1930年頃

キャラバン(Caravan) L2型 M-30号 3球再生式受信機 原口電機製作所 1932年頃 

クラウン(Crown) 412号A型 4球再生式  日本精器(株) 1936年 26.00円 (認定受信機のファイルへリンク)

クラウン(Crown) 424型 高一付4球受信機  日本精器(株) 1935年 35.00円 (認定受信機のファイルへリンク)

コンサートン(Concertone)B型(RR-401) 4球再生式受信機   (株)菱美電機商会 1931-32年 48.00円 

コンドル(CONDOR) 600号 4球再生式受信機  坂本製作所/田辺商店 1933年 63.00円 

コンドル(CONDOR) 700号 高一付4球受信機  坂本製作所/田辺商店 1936年頃 

シャープダイン(Sharp Dyne) 35号(初期型) 3球再生式 早川金属工業研究所 1931-32年 25.00円(後期型) (加筆訂正)

シャープダイン(Sharp Dyne) エバー(EVER)37号 3球再生式 早川金属工業研究所 19332-33年頃 (NEW)

シャープダイン(Sharp Dyne) 45号(後期型) 4球再生式 早川金属工業研究所 19332-33年頃 (加筆訂正)

シャープ(Sharp) 48号 高一付4球受信機 早川金属工業研究所 1936年 48.00円 (認定受信機のファイルへリンク) 

シャープ(Sharp) 55号 高一付4球受信機 早川金属工業研究所 1936年 50.00円 (認定受信機のファイルへリンク)

シンガー(SINGER)受信機 ”VICTOR”号 3球再生式 三共電機製作所  1932年頃 

高千穂 24号 (Takachiho No.24) 4球無妨害再生式受信機 放電無妨害受信機製作所 1935年ころ 

テレビアン(TELEVIAN) M-235号 高周波2段5球受信機  山中電機(株) 1933-34年 

テレビアン(TELEVIAN) M-48号/青年団4号A 高一付4球受信機  山中電機(株) 1936-39年 (認定受信機のファイルへリンク)

ナショナル(National) R-42号 4球再生式 松下電器製作所 1933年頃

ナショナル(National) R-48号(初期型) 高一付4球受信機 松下電器製作所  1933年頃 50.00円 

ナショナル(National) R-48型シャーシ 高一付4球受信機 松下電器製作所  1935年頃 

ナショナル(National) R-48号(ライナー型) 高一付4球受信機 松下電器製作所  1934-37年 45.00円 (個別ファイルへのリンク) 

ナショナル(National) 叡山号4号 高一付4球受信機 松下電器製作所  1935年   50.00円 (R-48号相当品)

ナナオラ(Nanaora) 44型 高一付4球受信機 七欧無線電気商会 1934年頃

ナナオラ(Nanaora) 84型 高一付4球受信機 七欧無線電気商会 1936年 52.80円 (個別ファイルへリンク)

ハドソン(NPS HUDSON) 62型 高一付4球受信機 合名会社 湯川電機製作所 1932年 

ヘルメス(Hermes) 24A型 4球再生式受信機 大阪無線(株) 1937年 \32.00 (認定受信機のファイルへリンク)

ミカサ(Mikasa) 五球ミゼット型 高二5球受信機 (合)三笠ラヂオ 1933年 

ユニバーサル(Universal) R-50型 高一付4球受信機 ラヂオ電気商会 1935年頃 

ローヤル(Royal) M61型  6球スーパー受信機 原崎無線工業 1935年頃 

ミゼット型受信機(横型) (あいうえお順) 

アリア(Aria) R-1号  4球再生式  ミタカ電機(株) 1936年 34.00円 (認定受信機のファイルへリンク)

アリア(ARIA) 44号A型 4球再生式  ミタカ電機製作所 1936年 35.00円 (認定受信機のファイルへリンク)

コンサートン(Concertone)RM24型2号 4球再生式 タイガー電機(株) 1936年 30.00円 (認定受信機のファイルへリンク)

エルゴー(Elgo)410号 無妨害再生受信機 4球再生式 木村電機(株) 1936年 

高千穂 303号 (Takachiho No.303) 4球無妨害再生式受信機 放電コンパニー 1936年 (認定受信機のファイルへリンク)

ナショナル(National)国民受信機1号(新K-1型) 3球再生式  松下電器製作所 1934年 27.00円

ナショナル(National) R-40型 高一付4球受信機  松下電器製作所 1935年 

ナショナル(National)国民受信機5号(K-5) 3球再生式  松下無線(株) 1936年 27.00円 (認定受信機のファイルへリンク)

ナショナル(National) R-11型 3球再生式  松下無線(株) 1936年 26.00円

ナショナル(National) R-10角型 3球再生式  松下無線(株) 1936年 23.00円 

ヘルメス(Hermes) No.4型 並四球受信機 大阪変圧器(株) 1935年 (個別ファイルへのリンク) 

ライジング S2型 3球再生式  (合)サン電池製作所 1936年頃 

BK標準受信機 伊丹号 並四球 BKラヂオ普及協会 1936年頃 

HY 型番不明 3球再生式 山本金属工業所 1936年頃 

超小型、特殊型受信機

ミッキーベビーセット(Mickey Baby Radio Set) 4球再生式 桐谷電機製作所 1935年 16.50円

ナショナル R-10改 彫刻付きラジオ 3球再生式 松下無線(株)/キャビ製作者不明 1936年頃

インターホン付4球受信機 4球再生式 メーカ不明 1935年頃 

シャープダイン(Sharp Dyne) 338型 3球ポータブルラジオ 早川金属工業研究所 1934年頃 

リバー(River) POCKET RADIO MODEL 500-P
 3球再生式受信機  川ラジオ製作所(KAWA RADIO WORKS) 1934年 

VENICE 超小型4球再生式受信機 4球再生式 ミカド電気研究所. 1936年頃 

吉田式スタンドラジオ 電気スタンド兼用高一付4球受信機 日本電波工業研究所 1935-37年頃 65.00円 

ミゼット型受信機(外国製受信機)  

McMichael "Duplex Super Five" 直流用5球再生式受信機 McMichael Radio Ltd. (U.K.) 1933年 £16.16s.0d. 

Majestic model 463 chassis 460 "Century six" 6球スーパー Grisbey-Grunow Co., (U.S.A.) 1933年 

Philco Model 71 Code 121  7球スーパー Philco Radio & Television Corp. (U.S.A.)  1932年 

Philco Model 52B Code 12?  5球スーパー Philaderphia Storage Battery Co.(U.S.A) 1932年

Philco Model 57C Junior Compact 4球2バンドスーパー  Philaderphia Storage Battery Co.(U.S.A) 1933年 

Philco Model89 Code123 6球2バンドスーパー  Philaderphia Storage Battery Co.(U.S.A)  1934年 

RCA Victor R-28 P 5球2バンドスーパー  RCA Victor Co., (U.S.A.) 1933年 

RCA Victor R-17-M トランスレス4球高一受信機  RCA Victor Co., (U.S.A.) 1934年 

RCA Victor model 5T  5球2バンドスーパー RCA Manufacturing Co., (U.S.A.) 1936年 


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ミゼット型受信機(縦型)


オリオン2号 (Orion Model2) 4球受信機 (東京電気 1930年頃)

  

TUBES: 227-226-226-112B

サイモトロン真空管で有名な東京電気の再生式4球受信機。東京電気の製造ではなく、OEMと言われる。
デザインにはアールデコの影響が見られる。スピーカと本体が一体となったごく初期の受信機である。

 欧米では真空管を製造する大メーカーがラジオセットも量産し、安価で高品質のラジオが普及していくが、日本では人件費の安い中小零細メーカーとの競争に負けて大手電機メーカーはラジオセットの製造から手を引いてしまう。東京電気も例外ではなく、オリオン号受信機も短期間で市場から消え去り、同社は後に東京芝浦電気となるが、1946年まで特殊な製品を除きラジオセットを作ることはなく、主に真空管の供給のみでラジオ業界にかかわることになる。

この、大メーカーがラジオを供給しなかったことは日本のラジオ業界の近代化に大きな悪影響を与えたという。

本機はツマミおよび前面下部の装飾が失われている。
(所蔵No.11512)

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コンサートン(Concertone)B型(RR-401) 4球再生式受信機 (株)菱美電機商会 1931-32年 48.00円

   

TUBES: 227-226-112A-112B, マグネチック・スピーカ (HUDSON MODEL B)

 三菱電機が米ウェスチングハウス社からライセンスされた技術でタイガー電池製作所に製作させた受信機。販売は(株)菱美電機商会が行った。回路構成だけ見れば、後の「並四」と同じ回路だが、これは大型のきわめて高級なセットである。製造元のタイガー電池製作所は1936年にコンサートンラジオの販売権を取得し、タイガー電機(株)と社名変更した。三菱電機は戦後「ダイヤトーン」ブランドでスピーカを製造するまでラジオ業界から離れた。

(所蔵No.11365) 掲載誌:ラヂオの日本 1932年1月号

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キャラバン (Caravan) L2型 M-30号 3球再生式受信機 原口電機製作所 1932年頃 24.00円

   

 1923年創業の中堅メーカ、原口電機製作所の3球式受信機。小型の砲弾型キャビネットで、この時代のラジオを代表する形態のセットである。227-112A-112Bの3極管を使った再生グリッド検波、1段増幅でマグネチック・スピーカを駆動する標準的な受信機である。”キャラバン”という商標の由来を示すようにダイヤルには砂漠の隊商とピラミッドが描かれている。

 本機は真空管が失われている。また、シャーシの腐食が激しい。

(所蔵No.11006)

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シンガー(Singer)受信機 ”VICTOR”号 3球再生式 (三共電機製作所 1932年頃)

   

TUBES: 227-112A-112B, マグネチック・スピーカ

 金属キャビネットの時代に有名になったシンガーのミゼット型受信機。VICTORの名が入っているが蓄音機とは何の関係もない。ちなみに日本ビクター蓄音機はこの頃からラジオ製造に乗り出している。同社は経営上の問題から1934年に経営権が譲渡され、日本精器として「クラウン」ブランドでラジオを生産することになる。

本機は正面右上のツキ板がはがれている。

(所蔵No.11399)

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ハドソン(NPS HUDSON) 62型 高一付4球受信機 合名会社 湯川電機製作所 1932年

  

TUBES: 224 227 112A 112B (57S 56 12A 12FK) , Magnetic Speaker, PU端子,

1930年代前半を代表するメーカの高一受信機。同社のデザインは正面に大型のダイヤルとツマミ2個を配し、天部に緩やかなカーブを持った特徴を持っている。感度を確保できる高一受信機の場合、音量調整を備えるのが普通だが、このセットにはない。並四と同じように再生調整のみである。デザイン上の理由と、高一受信機が必要になる電界強度の低い地域では音量調整は不要ということだろうか。

本機は、近年修復されているため、使用可能である。真空管が、より高性能な57S、56に交換されていることと、放送局の大出力化によって、東京都内では短いアンテナで十分実用になる。音量調整がないと少し不便なほどである。
電源スイッチ、スピーカはオリジナルではない。
ツマミは当館で似た形のものを取り付けた。

掲載誌:ラヂオの日本 1932年11月号広告

(所蔵No.11A041)

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ミカサ (Mikasa) 五球ミゼット型 高二5球受信機 (合)三笠ラヂオ 1933年

   

TUBES: 224-235-235-247B-280B, マグネチック・スピーカ

 関西系中堅メーカの高級受信機。初期の「ペントードセット」である。

本機のスピーカ、ツマミはオリジナルではない。また、整流管が失われている。

(所蔵No.11005)

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テレビアン M-235号 (Televian Model M-235) 高周波2段5球ダイナミック受信機 山中電機(株) 1933-34年 94.00円

  

    
  広告:ラヂオの日本1934.1           スーパーに改造されたシャーシ、右下の銘板は東京電気の特許許諾証

 エリミネーター受信機の普及とともに大手メーカとなった山中電機の高級受信機。235-235-224-247-280 の高周波2段5球でフィールド型ダイナミックを駆動する。
幅42cm、奥行き28cm、高さ52cmの巨大な砲弾型キャビネットである。このセットは、広告写真とツマミのピッチが異なる。別の型番の機種の可能性もある。

本機は、スピーカが失われ、サランネットが破損している。また、セット内部を見ると、ネットが元は青い糸で模様が刺繍されたものであることがわかる。また、シャーシは何度も改造を重ねられている。本来は広告のような小型のダイヤルであったが、1937年頃のエアプレーンダイヤルに改造されている。そして、戦後になって3WC5-57S-3ZDH3A-3YP1-80の2.5V系真空管を使った5球スーパーに改造された。

ツマミは、このときに交換されたと思われるものが付いていたが、現在はオリジナルと形状が似たものに交換した。

(所蔵No.11672)

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ナナオラ44型 (Nanaola No.44) 高周波1段4球受信機 (七欧無線電気商会 1934年頃)

    

TUBES: 224-224-247B-112B, マグネチック・スピーカ

44型はナナオラの中級受信機で高周波増幅なしの受信機より一回り大きい。デザインは砲弾型キャビネットの典型的なもの。
砲弾型キャビネットは古典ラジオらしいデザインで今でも人気が高いが、この時代の全てのキャビネットがこの形だったわけではなく、山型や角型のキャビネットが混在していた。

 本機の前面パネルには京城(現在のソウル)放送局のプレートが取り付けられている。財団法人京城放送局は日本放送協会の母体となる東京(JOAK)、大阪(JOBK)、名古屋(JOCK)に次いで1926年11月に4番目の放送局として開局した。JODKのコールサインは日本の敗戦とともに消滅し、今に至るまで割り当てられていない。

(所蔵No.11349)

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ナショナル(National) R-42号 4球再生式 松下電器製作所 1933年頃

  

 

TUBES: 227 226 112A 112B, Magnetic Speaker,

松下の初期の4球受再生式信機。安価で良くできたセットだったが、まだ松下製ラジオの知名度が低く、それほど大量には出回らなかった。このキャビネットには、松下の検査証が付いているが、一般的に知られているものとはデザインが異なる。

(所蔵No.11A059)

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ナショナル(National) R-48号(初期型) 高一付4球受信機 松下電器製作所  1933年頃 

 

 TUBES: 224-224-247B-112B, マグネチック・スピーカ

1933年に発売された四極管検波、抵抗結合五極管増幅方式の高一付4球受信機。5極管(ペントード)を使う抵抗結合式出力回路は当時最新のもので、音の良いラジオとしてもてはやされた。シャーシの構造や使用部品には、松下最初のラジオ受信機である、いわゆる「当選号」と共通する要素が見られる。受信周波数帯は後に決定した550-1500kcよりも狭く、550-1400kcである。
R-48型のもっとも初期型のキャビネットである。この形は最初の1年ほどだけで、すぐにライナー型に変更された。

本機のシャーシは失われ、安物の並四球のシャーシに交換されていた。景気の悪い時代である。購入後しばらくしてひどい故障が起きた時にでも、修理するより安いシャーシに交換することを勧められたのだろうか。電波が強い地域であれば実用的には問題ない。スピーカは1930年代後半のシャープ製のものである。オリジナルのシャーシが失われているのは残念だが、当時のラジオとの付き合い方がわかる面白い例である。

(所蔵No.11A047)

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ナショナル(National) R-48型シャーシ 高一付4球受信機 松下電器製作所  1934年頃

   

 

TUBES: 224-224-247B-112B, マグネチック・スピーカ

1934年に発売された四極管検波、抵抗結合五極管増幅方式の高一付4球受信機。5極管(ペントード)を使う抵抗結合式出力回路は当時最新のもので、音の良いラジオとしてもてはやされた。シャーシの構造や使用部品には、松下最初のラジオ受信機である、いわゆる「当選号」と共通する要素が見られる。受信周波数帯は後に決定した550-1500kcよりも狭く、550-1400kcである。

R-48型にはシャーシのみで販売するものも設定されていた。キャビネットは専門メーカから安価なコピー品が出回っていた。松下製の完成品は45円であったが、シャーシの卸値は真空管なしで17円50銭、これに卸2円程度のキャビネット、同1円50線程度のスピーカ、3円30銭程度の真空管キット(二流メーカ品)を組み合わせると、定価の半額程度で組み立てることができた。シャーシ以外は安物部品でもナショナルのマークが入ったセットがかなり安く売れるというわけである。これが購買力の低い当時の日本市場の現実であった。松下自身もこのような市場を理解して、シャーシや部品を供給していたのである。このセットもR-48型シャーシを市販のキャビネットに収めたものと思われる。

本機は、長野県松本市で使われていたもの。
中央のつまみがオリジナルでない。真空管が57S-57S-3YP1-12Fに交換されていて、戦後まで使われたことがわかる。

(所蔵No.m11001)

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ナショナル(National) 叡山号4号 高一付4球受信機 松下電器製作所 1935年 50.00円

  

 

TUBES: 24B-24B-47B-12B, マグネチック・スピーカ

 四極管検波、抵抗結合五極管増幅方式の高一付4球受信機。ベストセラーとなったR-48型と同じもので、京都府内の月賦販売加盟店向けに八回払いの月賦販売用として用意されたもの。「叡山号」には、1号から6号まであり、当時の松下の代表的モデルが用意されていた。他の地域の月賦販売加盟店向けに「剣山号」も用意されていた。

キャビネット、シャーシは銘板以外R-48と変わるところはなく、良質の部品で丈夫に作られている。
シャーシの構造や使用部品には、松下最初のラジオ受信機である、いわゆる「当選号」と共通する要素が見られる。

(所蔵No.11667)

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アリア(ARIA) 27号B型シャーシ 4球再生式受信機 ミタカ電機製作所 1935年 シャーシ卸7.80円

   

TUBES: 27A-26B-26B-12B, マグネチック・スピーカ

 関東系の大手メーカ、ミタカ電機製作所の並四球受信機。放送協会認定15017号を取得した27型シャーシ(227-226-112A-112B)をモデルチェンジしたもの。シャーシのみで販売されたものを市販のキャビネットに収めて組み立てたもの。完成品で販売されていたアリア27B型セットもドン真空管付で卸16円という安価なセットだった。二流メーカの真空管、スピーカ、キャビネットを組み合わせると13円程度の原価で並四受信機が組み立てられた。

本機は、低周波トランス、アンテナコイルが交換され、27Aが失われている。

(所蔵No.11321)

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シャープダイン(Sharp Dyne) 35型 3球再生式受信機 早川金属工業研究所 1931-32年 25.00円(後期型)

  

TUBES: 227 112A 112B (56-12A-12F), Magnetic Speaker,

早川が最初に発売したミゼット型ラジオ。幅26㎝と、非常に小型にまとめている。スピーカを内蔵したラジオが出始めた時代のセットである。同じデザインで4球式の45型(227-226-112A-112B)も同時に発売された。この頃、松下電器はやっとラジオの生産を始めたところだった。鉱石ラジオの時代からラジオに取り組んでいた早川は、すでに最新の量産性に優れた安価なセットを発売できるまでになっていた。35型はキャビネットのデザインが変更されて放送協会認定を取得し、1933年頃まで生産された。また、このセットは、高島屋から「高島屋ダイン」の名称で発売されたことでも知られる。

本機の中央のツマミはオリジナルでない。左の大き目のツマミが中央に付き、右の小さいツマミが左右に付くのが正しい。
キャビネットの塗装が褪色している。

(所蔵No.11A061) 掲載誌:ラヂオの日本 1932年1月号

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シャープダイン(Sharp Dyne) エバー(EVER)37号 3球再生式 早川金属工業研究所 19332-33年頃

  

 TUBES: 227 112A 112B , Magnetic Speaker,

きわめて小型にまとめられた35号は少し大きく背の高いデザインに改められた。この機種はシャープではなく、エバーランドである。エバーについてはシャープに対する第二ブランドとして使われていた名称であることは間違いないが、資料は十分ではなく、どのように使い分けたか不明な点が多い。おそらく商流によって使い分けられたものと思われる。銘板はエバーだが、ダイヤルの表記はSHARPである。エバーの名称については、戦後早川電機工業のシャープに対して早川商事のブランドとして使われていたことが判明している。

(所蔵No.m11060) 戸井田コレクション

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シャープダイン(Sharp Dyne) 45型(後期型) 4球再生式受信機 早川金属工業研究所 19332-33年頃

  

TUBES: 227 226 226 112B (27A 26B 26B 112B), Magnetic Speaker,

シャープダインの4球受信機。初期型にも3球の35型に対し4球の45型が存在した。これは型番は同じ45型だが、キャビネットのデザインが変更されるとともに出力管が112Aから226に変更され、コストダウンが図られた後期型である。上級機種の45型には35型にはないピックアップ端子が付けられている。

本機はスピーカと裏蓋が失われている。ツマミは当館でレプリカを取り付けた。
シャーシの状態が悪かったため、手持ちの同等と思われるシャーシに載せ替えている。したがって、細部がオリジナルと異なる可能性がある。

(所蔵No.11924)

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高千穂 24号 (Takachiho No.24) 放電無妨害受信機製作所 1935年 35.00円

   

 

TUBES: 24B-26B-12A-12B マグネチック・スピーカ

 これは当時流行した「無妨害再生受信機」のひとつ。メーカの「放電コンパニー」は、銘板の表示を「放電無妨害受信機製作所」に変更するほど力を入れていた。無妨害再生受信機は、高周波増幅を持たない再生式受信機による再生妨害を防止する回路としたもの。日本放送協会は無妨害再生受信機の普及を目指して回路の懸賞募集を行った。この機種は、昭和9年度の懸賞に当選したNE式の回路を採用したもの。

昭和10年以降、逓信省特許105982号による回路が採用され、大々的に宣伝された。しかし、無妨害再生受信機は、基本的に再生を制限するもので感度が低かった。このため商品性が低く、短期間で流行が終わった。

 本機は、近年、全面的に修理されているため、本来の無妨害再生受信機ではなくなっていて、オリジナルが大きく損なわれている。本機のツマミ、サランネットはオリジナルではない。本来はグリル中央に3本の縦桟が付いていたが、失われている。

(所蔵No.11840)

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ユニバーサル R-50型 (Universal type R-50)  高周波1段4球受信機 (株)ラヂオ電気商会 1935年頃

  

ラジオ草創期から「赤門」ブランドで知られる東京、本郷のラジオ電気商会の4球受信機。224-224-247B-112Bの高周波1段受信機。高一受信機にしては小型にまとめられている。本機のキャビネットは汎用品と思われる。デザインは縦型ラジオの典型である。

(所蔵No.11513)

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ローヤル(Royal) M61型 6球スーパー受信機 (原崎無線工業 1935年頃)

  

 スーパーに強い高級機メーカーとして知られる原崎無線工業の6球スーパー受信機。27A-58-58-2A6-247B-280B の配列で5極管スクリーングリッド注入式コンバータ回路を採用している。大型でかなり高級なシャーシでありながらオリジナルのスピーカーはマグネチックある。当時は電蓄などにも普及型としてマグネチックスピーカを使用した製品があった。

本機はスピーカーがダイナミックに交換され、シャーシは6D6-6L7G-37A-6D6-6B7-42-80 の6.3V管の高一付スーパーに大幅に改造されているが、IFTなどのオリジナルの部品はかろうじて残されている。

(所蔵No.11541)

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コンドル(CONDOR) 600号 4球再生式受信機  坂本製作所/田辺商店 1933年 63.00円

  

 

TUBES: 224-227-247B-112B (224 56 3Y-P1 12F), Magnetic Speaker,

1930年代を代表するメーカ、コンドルの初期のミゼット型受信機。当時最新の5極管(ペントード)247Bを採用している。
砲弾型でも角型でもない中間的なデザインだが、ミゼット型のデザインが確立する前の機種である。

本機は、近年修理されている。スピーカーコード、電源スイッチはオリジナルではない。

(所蔵No.11A111)

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コンドル(Condor) 700号 高周波1段4球受信機 (坂本製作所 1936年頃)

  

 大正時代からの長い歴史を持つコンドルの高一受信機。24B-24B-47B-12Bの4球式。
アールデコの影響を受けたシンプルなデザインが特徴的。

本機のスピーカはオリジナルではない。真空管は3YP1-12Fになっている。

(所蔵No.11429)

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ミゼット型受信機(横型)


ナショナル(National)国民受信機1号 新K-1型 3球再生式受信機 松下電器製作所 1934年 27.00円(K-1型)

  

TUBES: 24B 47B(3Y-P1) 12B(12F), Magnetic Speaker

 松下電器が後にベストセラーとなる中級高一受信機R-48型を発売した翌年に「国民受信機」(まさにNational Radio である)シリーズの1号機として発売した廉価版の小型受信機。当選号以来の松下製受信機の価格帯の約半額の定価で発売され、市場に流通していた粗製濫造の安物と競争できる価格であったため好評を持って迎えられ、4球式のK-2型と合わせて発売後2ヶ月で1万台を越える台数を生産し、ヒット作となった。(1)(2)

K-1型は5極管を使った「3ペン」受信機で、「並四」のK-2型より高い定価が付けられていた。
新K-1型は、マイナーチェンジされたものだが、外観はほとんど同じである。

本機のツマミは1個失われていたため、当館でレプリカを取り付けた。
また、真空管も失われていたため、当館で取り付けた。電源トランスが焼損したらしく、電力会社の検査票と思われるラベルが焼けた跡がある。

(所蔵No.11908)

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ナショナル(National) R-40型 高一付4球受信機 松下電器製作所 1935年 65.00円

  

 

 松下の小型ダイナミック・セット。4極管UY-24Bが一般的だった時代に新型管UZ-58をいち早く採用した。58-58-47-80Bがオリジナルの配列。小型ラジオにUY-47を使用した例は珍しい。小型だが高級機である。このセットは、京都地域の月賦販売特約店では「叡山号5号」として、8回払い68.00円で販売された。

本機は6WC5 - 58 - 57 - 2A5 - 80 の5球スーパーに改造されている。

(所蔵No.11207)

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ナショナル(National) R-11型 3球再生式受信機  松下無線(株) 1936年頃 26.00円

 

TUBES: 24B 47B 12B, Magnetic Speaker

松下が「マーツライト」と称した熱硬化性プラスチック製キャビネットを使った超小型ラジオ。アメリカで「ベークライト」の商品名で人気を呼んでいたプラスチックラジオを国産化した意欲作。アメリカではすでにトランスレスが普及しいたため、このサイズでも高一付4球を組み込めたが、大きなトランスが必要な日本製では3球式が限度だった。当然重くなるので破損しやすく、良い状態で残っているものは少ない。量産性に優れるはずだがアメリカのように大量生産で劇的に価格が下がるということはなく、木製キャビネットの類似機種よりも価格は高かった。このため、初期のプラスチックキャビネットはすぐに市場から姿を消した。

(所蔵No.11A052)

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ナショナル(National) R-10角型 3球再生式  松下無線(株) 1936年 23.00円

  

TUBES: 24B 47B 12B, Magnetic Speaker

松下の小型セット。直線的なデザインにユニークな形のツマミなど、当時最先端のモダンデザインの影響が見て取れる。プラスチックキャビネットのR-11型と同時に発売されていたが、本来量産性に優れていて安くなるはずのプラスチック製ラジオより安価であった。R-10型には、曲線を基調とした「丸形」のデザインが異なるモデルがあった。

(所蔵No.S11029) (柴山 勉コレクション)

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エルゴー(Ergo) 410号 無妨害再生受信機 (並四球) 木村電機(株) 1936年

  

 

TUBES: 24B-26B-12A-12B

 中小メーカの並四受信機。当時流行した「無妨害再生受信機」のひとつ。無妨害再生受信機は、高周波増幅を持たない再生式受信機による再生妨害を防止する回路としたもので、逓信省特許を使ったものは大々的に宣伝された。しかし、無妨害再生受信機は、基本的に再生を制限するもので感度が低かった。このため商品性が低く、短期間で流行が終わった。

(所蔵No.11283)

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BK標準受信機 伊丹号 並四球受信機 BKラヂオ普及協会 1936年頃 

  

 

TUBES: 27A 26B 12A 12B, Magnetic Speaker,

 この時代のラジオとしては珍しい横行ダイヤルを採用した小型受信機。当時、各放送局でラジオの斡旋販売を行っていた。このセットは、JOBK(大阪中央放送局)の斡旋品のような名称になっているが、銘板にある発売元の「BKラヂオ普及協会」のところに、「登録商標」とある。

 ラジオの斡旋販売に熱心だったのは仙台、広島などの地方局が多く、開局後聴取者の伸びが悪かった名古屋を除けば、東京、大阪はラジオ業者も多く、普及も進んでいたので斡旋販売の実例は少ない。このセットは、放送局の推奨品のように見せかけた商品と思われる。

(所蔵No.11985)

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HY 型番不明  3球再生式受信機 山本金属工業所 1936年頃

  

 無名メーカーが作った27A-26B-12A-12B の並四受信機。ミゼット型受信機の典型的なスタイルである。放送協会認定のマグネチックスピーカ(Star 50号、放21053、山本由吉、1936.4.20認定)を使用。スピーカの認定を取得した「山本由吉」が、セットメーカの山本金属工業所と関係があるかは不明。当時はラジオとして放送協会認定を受けるとコストが高くなってしまうため、トランスやスピーカなどの主要部品だけ認定品を使用し、「認定品使用受信機」と称して販売するものが多かった。

 本機は電源コード、スイッチ、電源トランス、真空管が戦後交換されている。
また、キャビネット下部のツキ板が失われている。全体に保存状態は悪い。

(所蔵No.11592)

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ライジング S2型 3球再生式受信機   (合)サン電池製作所 1936年頃

  

 

 24B-47B-12B の、4極管検波、5極管増幅の3球受信機。ミゼット型受信機の典型的なスタイルである。4極管、5極管が発売されてから抵抗結合の3球受信機が作られるようになった。トランス結合の並四に比べて感度は低いが小型でスマートな形にできるため都会向けの受信機として発売されたようである。

(所蔵No.11593)

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超小型受信機、特殊受信機


ミッキーベビーセット(Mickey Baby Radio Set) 並四球受信機 桐谷電機製作所 1935年 16.50円

   

  
桐谷卸商報1935.5より 

TUBES: 27A-26B 12A-12F, Magnetic Speaker

 金属製キャビネットに収められた小型の並四球受信機。ブランドは「Mickey」であり、パネルの図案は明らかにミッキーマウスであるが、もちろん盗用したものである。実物のキャラクター部には、金色の彩色の跡が残っている。広告の写真から判断すると、何色かで着色されていたようである。中身は普通の小型マグネチック・スピーカを使った並四受信機で、かなり安価である。

 本物のミッキーマウスラジオは、米エマーソン社の411型 (1933-36)が有名だが、こちらは飯田商会の手で1934年に輸入されていた。しかし、小型ラジオながら\125円と、国産の電蓄が買えるほどの高価な品物だった(アメリカでの定価は$25.00)。本物の広告を次に示す。ちなみにこちらは正式なディズニーのライセンスを受けて生産されている。中身は高周波一段付4球でダイナミックスピーカを駆動する。


イートランラヂオ卸商報 1934.6 飯田商会ラジオ部より

 この411型とニセモノを比べると、スピーカーグリルの絵柄も含めて、かなりデザインが異なっていることがわかる。ニセモノが金属製なのに対して、本物は木製である。デザインも本物のほうがはるかに凝っていて、正面だけでなく、すべての面にキャタクターの彫刻がある。また、本物のパネルがほぼ正方形であるのに対して、ニセモノは縦に長い形状になっている。これはスピーカのサイズの関係で全く同じ寸法にできなかったものと思われる。

 昭和初期にはディズニーのアニメ映画は日本で公開されていて、ディズニーのキャラクターは日本ではそれなりの知名度はあった。そうでなければニセモノを作る意味はないわけだが、このニセモノ、実は正式に意匠登録されている。下図に、意匠登録公報の正面図を示す。


意匠登録第66008号「ミッキーマウス模様ラジオ受信機」 公報より

 1934年12月に鈴木八郎なる人物により「ミッキーマウス模様ラヂオ受信機」として出願され、ぶじ1935年4月に意匠登録66008号として登録されている(3)。上記の広告の日付から、1934年半ばには本物が日本にもたらされている。ニセモノの意匠登録は本物を確認してからデザインして出願したと考えてもおかしくない。新興国であった日本ではラジオの分野でディズニーによる商標登録がなされていなかったのかもしれない。それにしても、明らかに外国の有名なキャラクターを使用したものとはっきりわかる意匠を正式に登録してしまうということは現代では考えられない。このような製品は、新興国時代の日本の知財に関するレベルをよく表している。

 アメリカのエマーソン411型は、子供向けのラジオとして商品化されたものである。では、この日本製のニセモノはどのような意図で作られたものだったのだろうか。当時、子供にラジオを買い与えるという家庭はほとんどなかったとみてよいだろう。他の小型ミゼット同様都会のアパートなどで使うことを意図した製品とみるのが自然である。商報の広告の欄外には「ミッキーベビーセット発売以来売行殺到」とあるが、残存数から見てそれほど売れたとは思えない。もっとも金属製で敵国のキャラクターを使った製品ということで戦時中に金属供出されてしまった可能性はある。

「ミッキーマウス」”Mickey Mouse"は、The Walt Disney Company の登録商標です。

(所蔵No.11A046)

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ナショナル R-10改 彫刻付きラジオ 3球再生式 松下無線(株)/キャビ製作者不明 1937年頃

  

 

TUBES: 24B 47B 12B (UZ-57 3Y-P1 KX-12F), Magnetic Speaker

一家だんらんの様子を描いた彫刻がパエルに施された珍しい形のラジオ。中身はナショナルのミゼットラジオR-10型である。キャビネットには量産品と同じ銘板と特許番号一覧のラベルが貼ってあるが、銘板には検査印はあるが、製造番号は入っていない。ラベルは松下のものだがキャビネットは樹種や構造が明らかに松下製とは異なる。松下はシャーシのみ供給したようだが、このモデルのシャーシはカタログでシャーシが販売されてはいない。特別に個別の契約で供給した物だろう。

彫刻は一体物ではなく、壁と人物がいる椅子の部分および床が別ピースでできている。表面からツマミが見えないが、操作はパネル全体を開いて行う。今は失われているが、スピーカの部分の窓にはカーテンを思わせる布があった。いかにもアマチュアの手作りのように見えるラジオだが、このラジオは、全く同じものがもう1台確認されている。このことから、ある程度の数が生産されたと考えられる。簡単に操作できなくなっている点とデザインから見て、子供向けの品物と考えられるが、当時、アメリカのように子供用に個人がラジオを用意するということは日本では考えられない。

このラジオの使用目的は明らかではないが、幼児教育の現場などで、私立学校などが使用したものと考えることはできないだろうか。

本機はツマミ1個とスピーカのネットが失われている。

(所蔵No.11A095)

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インターホン付4球受信機 並四球受信機 メーカ不明 1935年頃

  

  インターホン切り替えスイッチ部

TUBES: 56(27A) 226(26B) 12A-12B, BC

 ミゼット受信機にインターホン機能を付けた特殊なラジオ。パネルには切り替えスイッチ(双方(ラジオ)-当方ラジオ(ベル)-呼出-通話)があり、背面には通常のアンテナとピックアップ端子の他に外部スピーカ端子と、もう1組のターミナルがある。
別室に供えられたスピーカとの間でベル呼出、ラジオの共同聴取ができるようになっているものと思われるが、実際にはインターホンスイッチはダミーとなっていて、配線は取り去られているので、機能の詳細は不明である。

 当時、中流家庭でも「女中さん」を置くことが珍しくなく、居間と女中部屋の間に呼出用のベルがついていることもあった。このラジオは、女中部屋でラジオを聴けるようにすると同時に呼出機能をつけたものではないだろうか。

(所蔵No.11A022)

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シャープダイン(Sharp Dyne) 338型 3球ポータブルラジオ 早川金属工業研究所 1934年頃

  
  スピーカが付いている正面(左)、と操作部と放熱口がある背面(右)

  
  底部蓋の内側に電源コード掛けが付いている

TUBES: 224 247B 112B (24S 3Y-P1 12F), Magnetic Speaker

 シャープのポータブルラジオ、交流式で、電池では使えない。リバー・ポケットラジオと同様、正面はスピーカグリルのみで、操作部とアンテナ端子が背面に付く特異なデザインである。アメリカ製品には良く見られるが、真空管が逆様に納められている。当時のソケットの品質を考えると、大胆な設計である。天部にハンドルがあり、電源コードは底部に収納できる。重量は3.9kgで、十分携帯可能である。

 当時、小型ラジオが多数発売され、中にはキャリングケースやバッグが用意されて、ポータブルをうたう製品もあった。旅先の宿で使うような用途を考えていたのだろうか。戦前の放送は娯楽が少なく、魅力に乏しかったといわれる。このため、実際に出先で使った例は少ないと考えられる。

(所蔵No.11917)

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リバー(River) POCKET RADIO MODEL 500-P 3球再生式受信機 川ラジオ製作所(KAWA RADIO WORKS) 1934年 25.00円

   

  

TUBES: 24B-12A-12B

 戦前の日本製真空管式ラジオとしては最も小型化されたもののひとつ。わずか幅14cm、高さ21cm、奥行10cmの木製キャビネットに交流式3球受信機を4インチの小型マグネチックとともに収納している。このセットは、1933年に発売された米国のKadette Model F "Junior"(外部リンク)を手本としていると思われる。ただし、Kadette Junior は、6F7と12A7を使用した2球トランスレス受信機である。ベークライトキャビネットで高さが15cmである。オリジナルに習ってPOCKET RADIOと呼んでいるが、実際にポケットに入れるには少し大きい。小型にするため、当時一般的だったトランス結合ではなく、抵抗結合が採用されている。

操作部は全て背面にあり、ピックアップ端子も備えている。電源スイッチは電源コードに取り付けられた中継スイッチである。当時の日本の技術でトランス式の3球受信機をこのサイズのキャビネットに収めたのは驚異的である。銘板は全て英語表記となっている。また、銘板の電源電圧の部分を、後から刻印するようになっている。このことから、英語表記は舶来に見せかけるための伊達ではなく、輸出を考えていたのではないかと思われる。

掲載誌:無線と実験1935.3

(所蔵No.11823)

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VENICE 超小型4球再生式受信機 並四球受信機  ミカド電気研究所 1936年頃

  

  

 20cm角に入る超小型の4球受信機。27A-26B-26B-12Fの4球で5インチのマグネチックを駆動する。戦前の国産品としては最も小型のラジオと思われる。このセットからはメーカーは特定できない。表記のブランドとメーカ名は、ほかのコレクションにある同型機の銘板で確認したもの。複数社にOEM供給された可能性があるため、正確さには欠ける。構造上キャビネットとシャーシが分離できない。部品が大きいままで無理に小型化しているため整備性は悪い。

(所蔵No.11745)

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吉田式スタンドラジオ 電気スタンド兼用高一付4球受信機 日本電波工業研究所 1935-37年頃 65.00

   
     スタンドラジオ2種類、基本的なデザインは同じだが、真空管のケースや、細かい模様が異なる
  
  蓋の裏に付けられたスピーカとソケット(左)、蓋が付けられる受け口(右)
 

 TUBES: 24B 24B 47B 12B (57S 56 56 12F に改造), Magnetic Speaker

 高一付4球受信機を電気スタンドに組み込んだ特殊なラジオ。筺体は真鍮の薄い板を半田付けで組み立てた手のかかったものである。スタンドの傘を支える柱の中に真空管が入り、かさの裏側にスピーカのコーンが下向きに取り付けられ、ベークライト製のフレームにマグネットと電球のソケットが取り付けられている。 本体と傘はコネクタで接合される。電球とスピーカはピンの太さが変えられていて、誤接続を防ぐようになっている。ラジオの回路は23cm角、高さ5cmの台座の中に全て収められている。金属製の底板とシャーシ上部には紙が貼られ、絶縁している。スペースが無いため、高一でありながら2連バリコンを使うことができず、薄型の単連型セミコンを並べて取付けている。このため、同調操作は一昔前の2段同調型となり、使いにくい。また、同調ツマミの反対側には音量調整があるが、再生調整は無い。調整だけでなく、再生回路そのものが無い。これに加えて狭い金属キャビネットにコイルを押し込んでいるためQが下がり、感度は悪い。音質は到底望めない構造だが、背面にはアンテナ端子と並んでピックアップ端子も付けられている。

 このデザインの吉田式スタンドラジオには、いくつかのバリエーションがあり、真空管のカバーが円筒形のもののほうが一般的である。また、木製の台座がつけられたものもある。このセットは、戦時中にいったん生産中止されるが、戦後ほとんど同じ形で復活し、真空管や回路を改良しながら1950年代まで生産された。

 デザインを優先したため性能の悪いセットとなってしまった本機は1950年代に57S 56 56 12F の並四球に改造されている。一度分解されて一から作り直されたらしく、トランスを除きオリジナルの部品は無い。また、メッキが劣化してくすんだ色になっているが、本来は金色と銅色のブロンズ風メッキが施されていたようである。

真空管のカバーが円筒形のほうのセットは、残念ながらラジオ部分の部品がすべて失われていた。
ツマミやスイッチは、当館で似た形のものを取り付けたダミーである。

(所蔵No.11879/11986)

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ミゼット型受信機 (外国製受信機)


McMichael "Duplex Super Five" 直流用5球再生式受信機 McMichael Radio Ltd. England 1933年 £16.16s.0d.

  

 
  Amplion Convette Model M2V-B エリミネータユニット
  (Input: AC200-250V, Output: DC2V 1A max, DC100-130V 20mA max)

TUBES: PM12 PM2HL 210HL 215P PM2B (Mullard/Cossor),
A: DC2V, B: DC130V, C: DC9V, BC: 250-550m, LW: 900-1900m

 英国マックミッチェル社製の電池式受信機。電池式であっても、ポータブルではない。英国では、電気より先に照明、熱源用のガスのインフラが整備された関係で、電気の普及は日本より遅れていた。このため、1930年代になっても家庭用の電池式受信機が多く作られていた。電池をセット下部に内蔵するためにスピーカが下、シャーシが上というレイアウトになっている。
日本やアメリカではあまり見られないレイアウトだが、英国ではしばしば見られる形態である。ループアンテナを内蔵しているため、キャビネット底部に回転台が装備され、指向性を調整できる。この収蔵品では、バッテリーのサイズに合わせた電源ユニットが取り付けられている。製品名にSuperと入っているが、スーパーヘテロダインではなく、"Duplex"(レフレックス)を採用した再生式である。

電源部の配線はオリジナルではない。また、パネル左側の切り替えツマミが失われている。

(所蔵No.11964)

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Philco Model 71 Code 121 7球スーパー Philco Radio & Television Corp. (U.S.A.) 1932年

  

TUBES: 44 36 44 37 44 42 80

 Cathedral型セットで一世を風靡した米フィルコ社の2世代目のデザインのセット。大型の7球スーパーで、フィールド型ダイナミックを駆動する。真空管は当時最新の6.3V球を使用している。1932年にフィルコ社は、アメリカ初の全電子式テレビの免許を受けた。これを受けて、同社は、主に製造と本社機能を持つPhiladerphia Storage Battery Co. と、主に販売を担当するPhilco Radio & Television Corp.に分けられた。このため、この時代のフィルコ受信機には、2つの社名表記が見られる。

(所蔵No.11905)

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Philco Model 52B Code 12? 5球スーパー Philaderphia Storage Battery Co.(U.S.A)  1932年

  

 TUBES: 24 - 35 - 24 - 47 - 80

 アメリカの大手メーカ、フィルコのカテドラル型5球スーパー。中間周波数は175kcである。出力管として大型のペントード、47が使われているが、スピーカは5インチと小型のフィールド型ダイナミックである。アメリカ製のセットとしてはすでに旧式となった2.5V管を使用している。不況下のアメリカでは安価なラジオが求められた。この機種は従来のカテドラル型のモデルに比べてスピーカとキャビネットを一回り小さくした廉価版である。

本機はシャーシの錆がひどい。また、キャビネットは再塗装されている。

(所蔵No.11810)

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Philco Model 57C Junior Compact 4球2バンドスーパー Philaderphia Storage Battery Co.(U.S.A) 1933年 $15

  

 アメリカの大手メーカー、フィルコの小型受信機。77-77-42-80の6.3V球を使ったトランス式4球スーパー。小型のフィールド型ダイナミックを駆動する。通常の中波のほかに、1.5-3.2Mcの短波帯を受信できる。このバンドは警察無線、初期のテレビ音声が割り当てられていた。このセットは同社で初めてULの安全認証を受けたものという。幅30cm、奥行き13cmの小さなキャビネットに、日本では大型のラジオにしか使われない42-80を使ったスーパーの回路が納められているため、放熱には十分な配慮がなされている。日本ではこの時代にこのサイズでは、並四受信機さえ作ることはできなかった。このセットは、ライバルのエマーソンの小型受信機ががTRFだったのに対し、安価な小型受信機ながらスーパーだったためにベストセラーとなり、1年で11万台以上生産された。

(所蔵No.11715)

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Philco Model 89 Code123 6球2バンドスーパー Philaderphia Storage Battery Co.(U.S.A) 1934年

  

 

 アメリカの代表的ブランド、フィルコのミゼット型受信機。カテドラル型と呼ばれるタイプの受信機の代表的なもの。同社のセットの中では比較的小型のモデルである。同じようなサイズの国産品は、せいぜい高一程度の内容だが、これは6球スーパーである。シャーシの構造や使用部品のレベルは日本製品より数年先を行っている。真空管は、44 - 77 - 44 - 75 - 42 - 80 という、6.3V管を使用し、フィールド型ダイナミックを駆動する。通常の中波のほかに、1.5-3.2Mcの短波帯を受信できる。このバンドは警察無線、初期のテレビ音声が割り当てられていた。Model 89 には、多くのバリエーションがあり、Code123に限ってもキャビネットのデザインが数種類ある。

本機はサランネットが破損し、スピーカがオリジナルでない。

(所蔵No.11660)

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Majestic model 463 chassis 460 "Century six" 6球スーパー Grisbey-Grunow Co., (U.S.A.) 1933年

  

TUBES: 58 2A7 58 55 2A5 80, Electro-dynamic Speaker (Jensen)

 大胆な"waterfall"柄のクロームメッキのグリルが特徴的な、アール・デコ・スタイルのキャビネットを採用したセット。1933年にこの製品のメーカの地元シカゴで開催された博覧会Worlds Fair "Century of Progress" を記念して発売された。回路はごく平凡な高一付6球スーパーである。このキャビネットのデザインは日本のメーカ数社にコピーされた。

(所蔵No.119345

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RCA Victor R-28 P 5球2バンドスーパー RCA Victor Co., (U.S.A.) 1933年

  

TUBES: 58 2A7 57 2A5 80, 5"P.D.SP. 

 RCAのCathedral型セットの中では最も小型のセット。高周波1段付で中間周波増幅を持たない5球スーパーである。型番の末尾"P"は、ポリスバンドを示すもので、1.4-2.8Mcの短波が聴けるようになっている。ベースモデルR-28に付加された機能で、右端の不自然な位置についているつまみがバンドスイッチである。警察無線傍受可能な家庭用受信機など、当時の日本では考えられないものであっただろう。このセットが作られた1933年は、日本ビクター蓄音機がラジオの製造に乗り出した年でもある。本機の回路や、シャーシ構造、小型のケース入りIFTなどの部品の技術は、親会社のRCAから日本ビクターに供与され、同社の製品に生かされた。

(所蔵No.11934)

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RCA Victor R-17-M トランスレス4球高一受信機 RCA Victor Co., (U.S.A.) 1932-34年

   

TUBES: 39/44 - 36 - 38 - 37(76)

 金属キャビネットに収められたトランスレス4球高一受信機。小型のマグネチック(インピーダンス875Ω)を駆動する。整流管は3極管37の2極管接続である。6.3V管を使っているため、ヒータ電圧の足りない分は、大型の抵抗器(初期型は電源コード内蔵の抵抗線)で消費している。小型のバリコン、ハイ・インピーダンス型のコイルなど、日本の製品とは技術レベルが違うことがわかる。
まったく同じキャビネットでGeneral Electric のModel BXもある。日本ではこのデザインとまったく同じものを廣瀬商会が1934年に発売した。こちらは227-226-112A-112Bのトランス式再生検波で、このデザインを「国旗を象徴した」デザインと称し、NIPPON号と名付けた。NIPPON号のほうは、サイズが若干大きくなっている。

(所蔵No.11468)

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RCA Victor model 5T 5球2バンドスーパー RCA Manufacturing Co., 1936年

  

 RCAの中級2バンドスーパー。中波のほかに1.8-6Mcの短波を受信できる。このバンドには警察無線、航空無線、アマチュア無線が含まれる。6A7-6D6-75-42-80という、6.3V系の配列で、8インチフィールド型ダイナミックを駆動する。この回路は、戦後日本で一般的になった「5球スーパー」の回路である。

(所蔵No.11716)

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参考文献

(1)松下電器月報 1934.6 松下電器製作所
(2)山口 誠 「放送」をつくる「第三組織」-松下電器製作所と[耳」の開発- メディア史研究Vol.20 2006.5 メディア史研究会
(3)小野寺 務 ラジオのデザインについて その1 AWC会報 1999 No.2

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