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民放開局前夜の国産ラジオ受信機
1949-50

 -ドッジライン不況と業界の淘汰、無名メーカーの最期-


 1949年、日本の悪性インフレを抑制するため強力な金融引き締めが行われた。来日した特使、ジョセフ・ドッジの名を取って「ドッジ・ライン」と呼ばれる。復興を続けてきた日本経済は一気に深刻な不況となり、人員整理に伴う労働争議が頻発し、会社の倒産が相次いだ。しかし、この施策により急騰し続けた物価は安定し、その後の経済復興のきっかけとなった。

 ラジオについても戦後増加し続けた聴取者数、生産台数とも急ブレーキがかかり、24年から25年にかけて年間の聴取加入数、生産台数とも半減した。これは財務基盤の弱い中小メーカーを直撃することになった。

 1949年末から1950年にかけて、電機業界にはもうひとつ大きな変化があった。1946年から財閥に指定され、活動が制限されていた松下電器産業が開放されたのである。トップメーカーが手足を縛られている中でわが世の春を謳歌していた中小メーカーにとってはこれも逆風であった。

 また、1950年の放送法成立後には民間放送が許可されることが確実になった。これまでどんなに多くてもNHK第1,第2,進駐軍放送の3つくらいしかなかった電波が増えることから、特に都市部では旧来の並四、高一では分離が悪く、実用にならないことが予想された。1949年には27万台あった再生式受信機の生産が50年にはわずか11,274台に激減してしまう。不況による生産量半減は、再生式受信機を直撃した。高額なスーパーの生産は不況にもかかわらず25万台前後でほとんど変化していない。また、生産台数が半減しながら一社あたりの生産台数は変化していない。このことは、規模が小さく、技術力のない中小メーカーが淘汰されたことを示している。

 実際には、民放ができたらスーパー以外は使えなくなるというのは過剰な反応であった。逓信当局は、並四受信機が多く使われている現状を前提に、同一地域のNHKと民放の周波数をかなり離して割り当てたのである。民放開局を良く思わない関係者が振りまいた見解が一人歩きしたというのが実情である。ドッジライン不況に加えて特に再生式受信機に買い控えが起きて市場が冷え込んだため、業界団体では民放開局とラジオについて正しい知識を普及するためのパンフレットを発行するなどして対応に追われた。

1950年の年頭には31社あったメーカーがわずか5ヶ月で17社に減ったのである。松下、早川など上位5社のシェアは72%にも登った。1950年9月の統計によると、沖電気、三菱電機は第2四半期のラジオの生産量ゼロ、日本ラジオ工業(JRC) 121台、帝国電波 62台、松本通信 10台など、とても事業を継続できるような状態でないことがわかる。こうして戦後の旺盛な復興需要に乗って参入した新興企業は次々に倒産した。

軍需を失ってラジオの生産に乗り出した大企業はラジオ部門を別会社に移して朝鮮戦争による特需に対応すべく本業に専念することになる。
 沖電気はラジオから撤退し、岩崎通信機から分離した千歳工芸は消滅した。
 キャノンが設立した暁無線は1949年にGHQの指示により解散した。
 神戸工業はラジオの生産を続けるが、次第に電子部品とカーラジオに事業を移していく。
 安立電気から分離した日本アルファ電気はこの後しばらくラジオ生産を続ける。
 日立製作所は家電ブームとなる昭和30年代までいったんラジオから撤退した。

山中、ミタカなどの戦前から続くメーカーはこの時点ではまだ命脈を保っていたが、歴史のある関西の中堅メーカ、戸根無線と双葉電機は1950年に倒産した。七欧無線電気も同時期に倒産し、1951年に七欧通信機とナナオ無線というまぎらわしい社名の2社が資産を引き継いで再建された。また、大阪無線なども、真空管を供給していた東芝などからの資本参加を得て資金をつなぎ、何とか生き延びていた。

ラジオ業界としては、この後の5球スーパー全盛期を前に厳しい冬の時代であった。

参考

<物価の目安> 
1950年(昭和25年)頃
小学校教員の初任給3,991円、鉛筆1本10円、電球(60W)1個60円、もりそば1杯15円(麺類外食券)

対ドルレート 1ドル=360円(1949年4月以降)

この時代のラジオを、戦後派の中小メーカーのものを中心に紹介します。

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スーパー受信機


戦後参入した大企業/新興メーカ製のセット

NEC RA-300C/RA-300X型  6球2バンドスーパー 日本電気(株) 1949年

ハープ(HARP) 型番不明 5球スーパー 帝国無線(株) 1949年

OKI S-2型 5球スーパー 沖電気(株)  1950年 7,300円

パール R-106型 7球3バンドスーパー 日本ラジオ工業(株)  1949年(逓信省型式試験合格受信機のファイルへリンク)

ミミー(mimi) S-51型 5球スーパー 内外興業(株) 1948-52年(逓信省型式試験合格受信機のファイルへリンク)

ミリオン(Million) 5SR-1型  5球スーパー 千歳工芸(株) 1949年 (逓信省型式試験合格受信機のファイルへリンク)

クラリオン 型番不明  5球スーパー 帝国電波(株) 1949年頃

ダイヤトーン 49-K型 2バンド6球スーパー 三菱電機(株) 1949年 (逓信省型式試験合格受信機のファイルへリンク)

戦前からの伝統あるメーカのセット

テレビアン RD-580型 5球スーパー 山中電機(株) 1949-50年 10,000円 (逓信省型式試験合格受信機のファイルへリンク)

アリア DS-53B型 5球スーパー ミタカ電機(株) 1950年 14,000円

ナナオラ 5R-71型 5球スーパー 七欧無線電気(株) 1950-53年 10,000円(卸6,900円/1952)

コンサートン A-501型 5球スーパー 戸根無線(株) 1950年

ビクター製品 日本ビクター(株)製品

ビクター 5RS-4型 5球スーパー 1950年 9,980円

ビクター 5RS-6B型 5球スーパー 1950年

ビクター 5AW-30型 コンソール型2バンド5球スーパー 1950年 31,000円 (電蓄展示室へリンク)

ビクター 7AW1-C型 マジックアイ付6球5バンドオールウェーブスーパー 1950年 (NEW)

戦後大きなシェアを占めた上位のメーカ製のセット

ゼネラル製品 八欧無線(株)

ゼネラル 5S-10型 5球スーパー 1949年 12,250円

ゼネラル 8A-1型 3バンド8球オールウェーブスーパー 1949-52年 卸19,350-26,100円

ナショナル製品 松下電器産業(株)

ナショナル NM-2型RC-57W 再生式4球スーパー 1950年 卸3,500円

ナショナル 5S-19型 5球スーパー 1950年 10,300円

ナショナル 5S-16A型RC-56 5球スーパー 1950-51年 14,000円

ナショナル US-100型RC-62W 民間放送型スーパー 5球 1950年

シャープ製品 早川電機工業(株)

シャープ 5S-28型 5球スーパー 1949年 12,250円

シャープ 5R-55型
 5球スーパー 1950年 7,750円

シャープ 型番不明 5球スーパー 1950年頃  

マツダラジオ 東京芝浦電気(株)

マツダラジオ 513A 5球スーパー 1950-53年  9,850円

自作セット

ホームスーパーシリーズ使用・トランスレス5球スーパー 製作者不明 1949年頃 

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再生式受信機


クラリオン 型番不明 高一付4球受信機 帝国電波(株) 1949年頃

TEN シルバースター DR-5型  高一付5球再生式受信機 川西機械製作所 1949年

シャープ 5H-12型 高一付5球再生式受信機 早川電機工業(株) 1949年

シャープ 5A-30型 高一付5球再生式受信機 早川電機工業(株) 1949-50年 卸5,700円

ヘルメス M-45型  高一付4球受信機 大阪無線(株) 1949年

ヘルメス M-4型 高一付4球受信機  大阪無線(株) 1948-50年

ナショナル 5D-115型 高一付5球再生式受信機 松下電器産業(株)無線製造所 1949年

ナショナル 5D-113型 高一付5球再生式受信機 松下電器産業(株) 1950年 

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スーパー受信機


NEC RA-300C/RA-300X型 6球2バンドスーパー 日本電気(株) 1949年 

  
  RA-300X型の外観(左)と内部(右)
   銘板を外すとヒューズホルダが見えるようになっている。
    銘板:(左)RA-300C(No.22926)、(右)RA-300X(No.30055)

TUBES: 6WC5-6D6-6D6-6ZDH3A-42-80, Electro-dynamic Speaker (NEC, 6.5")

 戦後、ラジオ生産に復帰した日本電気の全波受信機。6WC5-6D6-6D6-6ZDH3A-42-80 の6球で6.5インチ・フィールド型ダイナミックを駆動する。短波帯の感度を稼ぐため中間周波2段となっている点が特徴的である。頑丈に作られた高級受信機である。コンバータには新型の6WC5が使用されているが、初期のNEC大津工場製の6WC5にはシールドが塗布されていなかったためにシールドケースが使用されている。

RA-300型にはいくつかのバリエーションが確認されている。初期のRA-300型の詳細は不明である。
RA-300A型は検波増幅管が6ZDH3、RA-300B型は6ZDH3Aになっている。ただし、文献には6ZDH3AでRA-300Aとしている回路図もある。
キャビネットについては鮮明な写真が残されていないが、初期のモデルはRA-111A型と同じものが使われていたようである。
実機が残っているC型とX型には、大きな差異は認められない。真空管はB型と同じだが、改良箇所については不明である。
C型とX型では製造番号に7千ほどの違いがある。
発売時期は逓信省型式試験制度が実施されていて、銘板には番号を記載する欄もあるが、制度の末期だったためか、試験を受けていない。同社はバリコンやIFTなどの主要部品をほぼすべて自前で作っていた。このことは凝った高級受信機に特化することにつながったがコスト面では問題があったと思われる。戦後の同社のラジオ開発は多摩川事業所で行われてきたが、その後、大津工場を中心に分離された新日本電気に引き継がれていく。

掲載誌:無線と実験1949.5(RA-300A型)、NEC復刊第4号 1949.5(RA-300A/B型)

(所蔵No.11023/11916)

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ハープ(HARP) 型番不明 5球スーパー 帝国無線(株) 1949年

  

  

TUBES: 6C6-6D6-6C6-42-80HK, Electro-dynamic Speaker (6.5")

 帝国無線(株)の5球スーパー。同社の沿革は不明だが、1948年の帝電工業、帝国無線電信電話から帝国無線と、次々に社名を変更している。
このセットは、パネルや裏蓋のデザインだけでなく、どこを見てもとにかくユニークとしか言いようがない。ループアンテナを採用し、トランスはシャーシの下に納められている。このためか発振コイルには厳重なシールドケースが付けられている。IFTやシールドケースも一般には見られないものである。変わったところばかりが目立つセットだが、技術的な必然性は認められない。残念ながら技術者の思い込みが形になったとしか思えない。

本機は極めて良い状態で発見された。新品未使用品かもしれない。

(所蔵No.11397)

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OKI S-2型 5球スーパー 沖電気(株) 1950年  7,300円

  

  

TUBES: 6WC5-6C6-6ZDH3A-6ZP1-12F, Permanent Dynamic Speaker (6.5")

 沖電気の最後期のラジオ。ごく標準的な5球スーパーである。中間周波管はセット付属の回路図では6C6だが、実際には標準的な6D6が使われている。S-2型には1949年に製造されたキャビネットのデザインが異なるセットも確認されている。1951年にはマイナーチェンジを受け、5S-3型になった。

(所蔵No.11545)

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アリア DS-53B型 5球スーパー ミタカ電機(株) 1950年  14,000円

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80, Electro-dynamic Speaker (6.5")

 戦前からの大手メーカー、ミタカ電機の5球スーパー。7インチフィールド型ダイナミックを使う大型のセット。中波のスーパーとしては高級機といえる。1948年に発売されたDS-53型のマイナーチェンジ機種であり、6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80 の平凡な構成である。DS-53型のバンドは550-1500kcであったが、上を1600kcまで伸ばして、新しい535-1605kcをなんとかカバーするように変更された。デザインには基本的に変化がなく、ツマミが変更され、ダイヤルに民放のコールサインが表示された程度である。IF:は463kcのままで変わっていない。本機は53型と型名を変えて1953年まで製造された。DS-53型は「終戦直後派」のスーパーとしては作りが良かったせいか、5球スーパー全盛期まで生き残った珍しい例である。逆に言えば同社に新製品を開発する能力がなかったことを示しているのかもしれない。

掲載誌 ラジオ技術 1950.12

(所蔵No.11331)

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ゼネラル 5S-10型 5球スーパー 八欧無線(株) 1949年 

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK, Permanent Dynamic Speaker (6.5")

 ゼネラルの小型5球スーパー。プラスチックのように見えるが、マグネシウム合金製キャビネットである。このセットは、もともと輸出を目指して開発された”スターリット”オールウェーブ5A-3型のキャビネットとシャーシを流用している。ST管を使用したトランス式のセットのため、同じようなデザインの海外製セットに比べるとかなり大型である。

本機は、ツマミとスピーカ、裏蓋が失われている

(所蔵No.11801)

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ゼネラル 8A-1型 3バンド8球オールウェーブスーパー 八欧無線(株) 1949-52年 卸19,350円

  

  

TUBES: 6D6-6WC5-6D6-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5, Permanent Dynamic Speaker (8")

 ゼネラルの最高級全波受信機。巨大で重量級のセットである。
高一中二の本格的な全波受信機で短波はSW1:3-8Mc、SW2:8-22Mcである。
この機種は1952年まで販売されたが、卸価格は1952年には26,100円に値上げされた。

 本機は塗装の劣化がひどい。

(所蔵No.11355)

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ナナオラ 5R-71型 5球スーパー 七欧無線電気(株) 1950-53年 定価10,000円(卸6,900円)

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK, Permanent Dynamic Speaker (6.5")

 ナナオラの比較的コンパクトな5球スーパー。型式試験は、5R-70A型で1949年に受けている(厳密には電波庁型式試験というべきであるが)。5R-71への変更は、受信周波数帯変更のためと思われる。本機の受信周波数帯は535-1680kcである。戦前よく見られた側面から調整する大型のIFTを使用しているのが特徴。キャビネット天井裏側にアンテナとなる鉄板が取り付けられている。雑誌に紹介されているセットはスピーカがシャーシ側に取り付けられているが、所蔵品はキャビネット側に変更されている。この機種は、1952年頃には、メーカーの倒産、分裂により分離した「ナナオ無線」に移行し、キャビネットの表示をNanaoに変更して5R-71Aとして1953年まで販売された。

掲載誌 ラジオ技術 1950.4

(所蔵No.11370)

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ナショナル NM-2型RC-57W 再生式4球スーパー 松下電器産業(株) 1950年 卸3,500円

  

  
  シャーシ上面、手前にIFTが見える。 シャーシ下中央がアンテナコイル、右に発振コイルが見える。
 

TUBES:6WC5-6C6-6ZP1-12F, Magnetic Speaker (8", Paper Framed)

 松下の4球スーパー。この年には高一受信機にはダイナミックセットしかなく、この機種がローエンドとなる。前年の1949年に生産されていたNM-2型RC-53高一4球受信機をモデルチェンジしたものである。基本的には高一4球受信機の高周波増幅部をコンバータに変更したものである。4球スーパー専用のIFTには再生がかけられ、高一受信機と同じように豆コンで再生調整を行うようになっている。

民放開始により都市部では混信がひどくなり、旧式な並四受信機では聴けなくなるといわれた。このため、国民型2号受信機とほとんど同じ価格でスーパーを実現し、選択度を改善しようとしたもの。高周波増幅がないことから感度は高一受信機より低い。そのため感度を稼ぐために面倒な再生調整も残ってしまった。キャビネットのデザインや使用部品も国民型受信機とほとんど変わらなず、マグネチックを使っていることから音質も良くない。これで並四受信機の置き換えになったのだろうか。

この機種に使われたIFTやコイルは、同社から改造用キット「ナショナルスーパーコンバーターNo.1765-K」として発売された。

NM-2型RC-57Wは翌1951年には同じ4球スーパーNS-3型にモデルチェンジされるが、4球スーパーの歴史はここで終わり、1952年にはマグネチックスピーカを使った5球スーパーHS-600型にモデルチェンジされる。1953年以降は、本格的な5球スーパーの低価格化が進み、このようなマグネチックスピーカを使った普及型スーパーは作られなくなった。
民放開局直前の過渡的な存在といえる。

(所蔵No.11238)

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ナショナル 5S-19型 5球スーパー 松下電器産業(株) 1950年 10,300円

  

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F, Permanent Dynamic Speaker (6.5")

 松下の普及型5球スーパー。
地方向けと思われる保守的なデザイン。内部構造は合理的で洗練されている。

本機は、前面パネル下側のツキ板が一部失われている。

(所蔵No.11344)

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ナショナル 5S-16A型RC-56 5球スーパー 松下電器産業(株) 1950-51年 14,000円

  

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80, Permanent Dynamic Speaker (6.5")

 ナショナルの5球スーパー受信機。中波受信機としては高級なモデルである。1949年に発売された5S-16型をマイナーチェンジしたもの。民放開局後の1951年まで生産された。量産性に優れた構造に中小メーカーとのレベルの差が見て取れる。

掲載誌 ラジオ技術 1949.12 科学社 (5S-16型)

(所蔵No.11443)

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ナショナル US-100型RC-62W 民間放送型スーパー  5球 松下電器産業(株) 1950年

  

  
   裏蓋の回路図(左)と、裏蓋に記入された購入履歴(右)

 松下が民間放送開始を前にして発売した新シリーズの五球スーパー。比較的小型の低価格のセットである。周波数帯域が改訂された535-1605kcに対応しているが、民放開局後に流行したコールサインを記入したダイヤルは採用されていない。民放開局の1年前に周到に準備された新製品であった。松下はこの後、新機種を追加するとともに1年おきにモデルチェンジを繰り返し、他のメーカとの差をつけていった。

本機はねずみの被害を受けて錆、部品の破損が激しい。下側のスピーカ止めねじが失われていたため普通のマイナスねじで代用した。また、12Fが失われていたので80BKを取り付けた。

(所蔵No.11877)

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シャープ 5S-28型 5球スーパー 早川電機工業(株) 1949年

  

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80, Permanent Dynamic Speaker (6.5")

 シャープの中級5球スーパー。このように、キャビネットに丸みがあり、中央に縦型ダイヤルを配置するデザインはこの時期の流行である。

(所蔵No.11521)

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シャープ 5R-55型 5球スーパー 早川電機工業(株) 1950年 7,750円

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F, Permanent Dynamic Speaker (6.5")

 シャープの小型5球スーパー。
木製キャビネットだが、パステルグリーン塗装が施され、軽快なデザインにまとめられている。ダイヤルの指針はなく、同調ツマミの切り欠きからランプの光が漏れることで位置を示すようになっている。本来は表面のネットもキャビと同じ緑色であったと思われる。同型でニス仕上げ、ツマミ部がベークライト色の5R-75型も存在した。

(所蔵No.11118)

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シャープ 型番不明 5球スーパー 早川電機工業(株) 1950年頃

  

 
  裏蓋に貼られた販売店の銘板

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F, Permanent Dynamic Speaker (6.5")

 シャープの普及型5球スーパー。
上の5R-55型と、使用部品が共通である。本機は、コイルを市販品に交換して2バンドオールウェーブに改造している。バンドスイッチは側面に追加されている。

なお、銘板にある「新進ラジオ」は、京都でも老舗の電気店で、現在でも同じ住所(現:京都市上京区千本丸太町上小山876)で盛業中である。電話番号も当時と基本的に同じ841-5492である。

(所蔵No.11214)

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ビクター 5RS-4型 5球スーパー 日本ビクター(株) 1950年  9,980円

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-80HK, Permanent Dynamic Speaker (6.5")

 1950年に発表されたビクターの普及型5球スーパー。ループアンテナを採用しているところ、中間周波数が455kcであること、整流管に、新型の傍熱管KX-80HKを採用している点が新しい。

 このキャビネットのデザインは1940年頃のトランスレス高二受信機、5A-10型とまったく同じである。ただし、5A-10型より奥行きが短くなっていて、残ったキャビネットをそのまま使ったというものではない。オリジナルの5A-10型が発売されてから10年もたって、なぜこのようなデザインのセットが現れたのかは不明である。

本機のツマミはオリジナルではないと思われる。

掲載誌 無線と実験 1950.8

(所蔵No.11301)

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ビクター 5RS-6B型 5球スーパー 日本ビクター(株)  1950年

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-80HK, Permanent Dynamic Speaker (6.5")

 1950年に発表されたビクターの5球スーパー。
6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-80HK の配列で6.5インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する。ループアンテナと、トラッキングレスバリコンが採用されている。中間周波数は新規格の455kcに対応している。
シャーシは5RS-4型とほぼ共通である。

(所蔵No.11215)

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ビクター 7AW1-C型 マジックアイ付6球5バンドオールウェーブスーパー 1950年

  

TUBES: 6D6-6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5, 6.5" Electro-dynamic SP.

ビクターのテーブル型ラジオとしては最高級の全波受信機。中波に加えて4-22Mcの短波が受信できるが、通常のラジオではこのバンドを2つに分けて3バンドとするが、この機種では4つに分けている。バンドスプレッド方式といって細かいバンドに分けることで選局を容易にできる。同社は戦後初の全波受信機からこの方式を採用していた。シャーシのレイアウトは戦後初の全波受信機5AW-1型に近く、この機種に高周波増幅を追加したものといえる。マジックアイを採用したものとしては早いものに属する。同社は戦前、高級電蓄に米RCA製の6G5を採用したことがある。この機種でもラベルには6G5との記述があるが、実際には国産化された6E5が使われている。型番の"-C"は改良型を示していると思われる。初期型には6Z-DH3、6G5などの旧型真空管が使われていたかもしれない。まだ同社が松下の傘下に入る前のため、部品には真空管を含めて東芝系のものが多く使われている。

本機は長野県北部で使用されていた。民放開局を前に最も高感度の高級機を購入したものと思われる。

(所蔵No.m11058) 長野県上田市 川上様寄贈

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コンサートン A-501型 5球スーパー 戸根無線(株) 1950年

  

  

TUBES: 6WC5 6D6 6ZDH3A 6ZP1 KX-12K, BC: 550-1600kc
6.5" Permanent Dynamic Speaker (Light model PD-65, Sonoda Speaker MFG. Co,)

 戦前からの関西系の名門、戸根無線の5球スーパー。同社の戦後のベストセラーとなったDS-5型は、電源トランスをオートトランスとしてコストダウンしていたが、このモデルは通常の回路である。同社は過剰投資がたたってドッジラインの金融引き締めで資金難となり、1950(昭和25)年春に倒産した。昭和25年3月の捺印がある本機は、倒産直前に生産された同社最後の製品である。「ラジオ公論」によると、同社の在庫品は倒産整理品として安値で処分されたという。

 このラジオのシャーシレイアウトは実に変わっている。通常と逆に後ろから見て左側にトランスがある。このためバリコンがトランスと平滑コンデンサに挟まれ、整流管に隣り合って変換管とIFT-Aがある。中間周波増幅管と出力管が隣り合い、検波管はIFTを挟んで反対側にある。ノイズ源とアンテナ回路が近く、全く合理性のない無茶苦茶な配置である。従来機種のレイアウトはいたって普通であったが、キャビネットの奥行きを短くしたため、IFT-Bがスピーカに当たらないように特殊な背の低い部品が必要であった。この機種ではキャビネットが大型化されているためこの問題はない。外観デザインは従来機種に近く、こうしなければならない必然性はない。経営悪化で有能な設計者がいなくなったのか、よほど前任者のことが気に入らなくて反対向きにしてみたのか、理由はわからない。会社の経営が悪化すると製品の質も劣化するという見本である。

本機のIFTは、汎用品に交換されている。

(所蔵No.11A011)

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クラリオン 型番不明 5球スーパー 帝国電波(株)   1949年頃

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F  6.5"フィールド型ダイナミック(ナナオラ650型)

 現在はカーオーディオで知られるクラリオンの5球スーパー。モールの有無やツマミの色が異なるだけでほぼキャビネットが共通の国民型受信機もあった。銘板やラベルなどがまったく無いため型番や製造時期は不明だが、ダイヤルにNHKのコールの他、WVTRなど、進駐軍放送のコールが記載されていることから、1949年頃のセットと思われる。

本機は裏蓋およびツマミが1個失われている。

(所蔵No.11839)

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マツダラジオ 513A 5球スーパー 1950-53年 9,850円

   

 

 東芝の5球スーパーの基本的なスタイルを決めた初期のもの。これ以降七宝焼きのマツダマークが付くことになる。6WC5-6D6-6ZDH3A-42-12Fという構成。42で12Fは整流管にとってつらいが、コストダウンのためであろう。平板を簡単に曲げただけのシャーシ、極限まで部品を減らした回路、単純なダイヤルなど、コストダウンに苦心している。キャビネットの質も低く、コストダウンが品質低下に直結してしまっている。後のモデルでは”Matsuda”ではなく、”Toshiba"表記になる。

(所蔵No.11234)

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ホームスーパーシリーズ使用・トランスレス5球スーパー 製作者不明 1949年頃

  

 
  ループアンテナはキャビネット天井に取り付けられている。

TUBES: 12WC5A-12YV1A-12ZDH3A-12ZP1A-36ZK2, Permanent Dynamic Speaker

 マツダのトランスレス用真空管、「ホームスーパー」シリーズを使用した無名の受信機。組立品と思われる。コーラル(福洋音響)の初期の楕円コーン・パーマネント・ダイナミックを駆動する。スイッチとヒューズホルダが、シャーシ加工時は背面に付けるつもりで穴あけしてあるが、側面に移されている。ループアンテナと干渉したのではないだろうか。このことから当初はループアンテナが背面にあったと思われるが、現在は天井に取り付けられている。手作りの試行錯誤の過程が良くわかるラジオである。自作ラジオにホームスーパーシリーズを使用するのは珍しい。

(所蔵No.11739)

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再生式受信機


クラリオン 型番不明 高一付4球受信機 帝国電波(株) 1949年頃

  

TUBES: 6D6-6C6-42-12F, Permanent Dynamic Speaker (NOBLE, 6.5")

 クラリオンの国民型4号相当の受信機。大型のキャビネットで、スーパー受信機を思わせるデザインである。銘板やラベルなどがまったく無いため型番や製造時期は不明だが、ダイヤルにNHKのコールの他、WVTRなど、進駐軍放送のコールが記載されていることから、1949年頃のセットと思われる。

(所蔵No.11663)

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TEN シルバースター DR-5型 高一付5球再生式受信機 川西機械製作所 1949

  

TUBES: 6D6-6C6-76-6ZP1-12F , Permanent Dynamic Speaker (TEN-Rola, 6.5")

 テンの再生式受信機。派手なダイヤルが特徴的なデザインで、小型にまとめられている。川西機械時代の末期の製品で、この年、同社は解散し、神戸工業となる。銘板には「逓信省型式試験合格第  号」の印刷があるが、番号は刻印されていない。型式試験の記録にもなく、制度末期にあって試験を受けなかったものと思われる。

(所蔵No.11358)

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シャープ 5H-12型  高一付5球再生式受信機 早川電機工業(株) 1949年

  

TUBES: 6D6-6C6-76-6ZP1-12F , Permanent Dynamic Speaker (5")

 シャープのの再生式受信機。4球式よりは大型で多少高級なモデル。ただし、4球式のシャーシをベースにしたらしく、検波管6C6がトランス横の奇妙な位置に来ている。性能上問題のある配置と思える。

本機は、塗装の退色が見られるが、オリジナルの状態をよく保っている。

掲載誌:ラジオ技術 1949.11(5H-16型)

(所蔵No.11311)

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シャープ 5A-30型 高一付5球再生式受信機 早川電機工業(株) 1949-50 卸5,700円

  

TUBES: 6D6-6C6-76-42-80BK , Permanent Dynamic Speaker (Sharp Model PD-67)

 シャープのの再生式受信機。出力管に42を使い、スーパー受信機なみのサイズで再生式受信機としては高級なもの。再生式としては最後期の製品。

(所蔵No.11371)

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ヘルメス M-45型 高一付4球受信機 大阪無線(株) 1949年頃  逓信省型式試験合格第57号

  

TUBES: 6D6-6C6-6ZP1-12F , Permanent Dynamic Speaker (NOBLE, 5")

 戦前は高級機メーカとして有名だったヘルメスの再生式受信機。
6D6-6C6-6ZP1-12F の標準的な高一の回路でノーブルの小型パーマネント・ダイナミックを駆動する。同社は戦前まで一流メーカーの部品を使用して高品質なセットを作ることで定評があった。本機もキャビネットは老舗のオカダケース製で、仕上げは決して悪くはないが、デザインやつくりは貧弱で、戦前の面影はない。

(所蔵No.11376)

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ヘルメス M-4型 高一付4球受信機   大阪無線(株) 1948-50年 逓信省型式試験合格第57号

  

 

TUBES: 6D6-6C6-76-6ZP1-12F , Magnetic Speaker (8", Paper Framed)

 戦前は高級機メーカとして有名だったヘルメスの再生式受信機。
シャーシおよびデザインはダイナミックを使ったM-45型と基本的に共通で、ダイヤルのデザインが異なるのみである。同社は戦前まで一流メーカーの部品を使用して高品質なセットを作ることで定評があった。本機もキャビネットは老舗のオカダケース製で、仕上げは決して悪くはないが、デザインやつくりは貧弱で、戦前の面影はない。このセットは、ドッジ不況のさなか、多数のラジオメーカーが消滅した年に生産されている。再生式の国民型受信機の最後期の製品といえる。

 同じ関西系の再生式受信機でも、シャープやナショナルの製品と比較すると、あまりに貧弱で比較することすらできない。大阪無線(株)は、ヘルメス通信工業と社名を変更して1955年まで存在したことが確認されている。同社の母体である電気機器メーカ、大阪変圧器(株)は1985年に(株)ダイヘンと社名変更して現在も存続している。

(所蔵No.11230)

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ナショナル 5D-115型 高一付5球再生式受信機 松下電器産業(株)無線製造所 1949年 

  

TUBES: 6D6-6C6-76-6ZP1-12F , Permanent Dynamic Speaker

 松下電器の最後期の再生式受信機。
1949年6月製造なので、本来は電通省型式試験が必要だが、制度の廃止目前だったためか試験を受けていない。
本機はスターのコイル、IFTを使って6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F の5球スーパーに改造されている。発売後数年でスーパーに改造されてしまっていることがわかる。

(所蔵No.11382)

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ナショナル 5D-113型 高一付5球再生式受信機 松下電器産業(株) 1950年

  

  
  松下初期の真空管(UZ-6C6)

TUBES: 6D6-6C6-76-6ZP1-12F , Permanent Dynamic Speaker (National Model NPD-65, 6.5")

 松下電器の最後期の再生式受信機。
上の5D-115型をマイナーチェンジしたもの。戦時体制の無線製造所から、通常の体制に戻った直後の製品である。フィリップスと提携する前の初期の自社製真空管が使われている。ダイヤルに表示されたコールサインはNHKと進駐軍放送のみで、民放開局直前のセットの特徴が出ている。

本機の右のツマミはオリジナルではない。6D6の代わりに6C6が使われている。

(所蔵No.11695)

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