5球スーパー全盛期(2) 中小メーカ、外国製セット編
 - 1951-55 (昭和26-30年) -


 1951年の民放開局以降、新しく生産される再生式受信機は激減し、1953年からは統計から消滅した。1951年3月の市場調査では、東京都内の販売店店頭に再生受信機は見られなかったという(ラジオ年鑑1951年版による)。朝鮮特需以降の好景気によりラジオの生産、聴取加入とも順調に増加を見せた。1953年にはテレビ放送が始まるが受像機も高価でまだまだラジオが放送の中心であった。mT管やGT管を使ったセットも現れるが、ST管の5球スーパー中心の時代である。

 また、民放の開局以外の大きな変化としては、1950年以降中波のバンドが550-1500kcから現在のものに近い535-1605kcに拡大されたこと、中間周波数が世界標準の455kcになった(従来の463kcは海岸局と干渉したという)ことがある。
1951年以降、IFが455kc、中波のバンドが535-1605kcのセットが主流となる。

 市場は戦前からの大手の松下、早川、戦後参入した大資本である東芝、新興勢力の八欧に、大半を占められていた。
各社の商品構成を見ると、2台目需要を考慮した小型ラジオから高級電蓄まで幅広いラインナップを揃える松下などの大手メーカーと、デザイン違いの数機種しか持たない中小メーカーの商品力の差が現れるようになっていることがわかる。

 その他のメーカとしては山中、ミタカ、七欧などの戦前から続く老舗メーカーがあげられる。これらのメーカはそれなりの規模を維持していたが製品のバリエーションも少なく、昔日の面影はない。実際には大手メーカの下請けで組立を請け負うことも多かった。
戦後、ラジオに参入した通信機、測定器メーカは、ラジオ部門を分離したため、いずれも一中小メーカになっていた。中小メーカにはポータブルラジオ専門メーカーがあるが、ポータブルはここでは割愛する(「真空管ポータブルラジオの離陸」を参照のこと)。
この時代には、ごく普通の5球スーパーに、多くの無名メーカの製品が見られる。キャビキットもしくはキットで供給されたものも多く含まれると思われるが、詳細は不明である。

 また、この頃、共済組合、教育機関、宗教団体などが安いラジオを傘下の会員や組合員に販売するために独自のラジオを製作することがあった。このような目的には中小メーカの製品が主に使われた。

 この頃、外貨不足の日本ではラジオセットの輸入はほぼ禁止されていた。旅行者や外国人、駐留軍関係者などが持ち込んだものを除けば、メーカなどがサンプルで輸入したものなど、ごく少数が輸入されたに過ぎない。デザイン面ではこの時代、特にアメリカ製小型ラジオの影響が大きく、多くの模倣品が現れた。

参考

<物価の目安> 
1951年(昭和26年)頃
小学校教員の初任給5,050円、鉛筆1本10円、電球(60W)1個85円、もりそば1杯17円

対ドルレート 1ドル=360円

この時代のラジオのうち、大手メーカ以外の製品を紹介する。
(注)
1955年まではマジックアイを球数に入れて表記するのが一般的だったが、わかりにくいため本稿では商品名を除き、「6球スーパー」ではなく、「マジックアイ付5球スーパーと表記する。

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メーカー別目次


戦前から続く老舗の製品


アリア(Aria) 5A1型 マジックアイ付5球スーパー ミタカ電機(株) 1953年 13,500円 

クラウン(Crown) CS-??型 マジックアイ付5球スーパー 日精電機(株) 1953年頃

クラリオン(Clarion) 5S4型 μ同調式5球スーパー 帝国電波(株) 1952年 卸10,200円

テレビアン(Televian) 6S-502型 マジックアイ付5球スーパー 山中電機(株) 1953年 17,800円 

ナナオラ(Nanaola) DX super 7S-18型 マジックアイ付6球スーパー 七欧通信機(株) 1953年 

ナナオラ(Nanaola) NR5S-3型 5球スーパー 七欧通信機(株) 1953年 14,500円

ナナオ(Nanao) 6S-70型 マジックアイ付5球スーパー ナナオ無線(株) 1953年


戦後旗揚げしたメーカの製品


アルファ(Alpha) 6B-32型 マジックアイ付5球スーパー 日本アルファ電気(株) 1954年

トピック(Topic) TRF-601型 5球スーパー トピックラジオ研究所 1952-53年 10,500円(卸7,300) 

パール(Pearl) NR-54型 5球スーパー 日本無線電機(株) 1951年頃

パール(Pearl) BR-12B 押鉤式5球スーパー 日本無線電機(株) 1953年

パール(Pearl)スタンドラジオSR-1型 電気スタンド型5球スーパー 日本無線電機(株) 1953年

ピジョン(Pigeon) 6S-2型 マジックアイ付5球スーパー 相互電機(株) 1953年 16,000円

ピジョン(Pigeon) TS-53A型 5球スーパー 相互電機(株) 1953年 12,500円

ピジョン(Pigeon) PR-312-B型 プリセット式5球スーパー 相互電機(株) 1954年頃 

メロダイン(Melodyne) MS-6L?型 mT管式5球スーパー 東洋産業ラジオ製作所 1953年

ナカジマ 型番不明 mT管式5球スーパー 中島無線(株) 1953年頃 


その他のメーカ


郵政型スーパー 5球スーパー (財)郵政弘済会 1953年頃

オンケン(Onken) OS220型 マジックアイ付5球スーパー 無線枢機産業(株) 1954年頃 

レーンボウ(Rain Bow) No.D-200 5球スーパー レーンボウ電波工業製作所 1952年 (加筆訂正)

キョーセイ(Kyosei) 5球スーパー キョーセイ無線 1954年頃

光和(Kowa)号A型 マジックアイ付5球スーパー ミツワ通信工業(株) 1953年

SE マジックアイ付5球スーパー  Sinko Electric Co., Ltd. 1954年頃

TOKO SUPER マジックアイ付5球スーパー 東興電機(株) 1954年頃

ノーマル(Normal) 6S-M1型 マジックアイ付5球スーパー 吉田電機産業(株) 1954年

ワルツ(Waltz) マジックアイ付5球スーパー 東京無線電機(株) 1955年 

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外国メーカ製品


  G.E. Model 411 トランスレス5球スーパー GENERAL ELECTRIC Co. (U.S.A.) 1950年 

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戦前から続く老舗の製品


アリア(Aria) 5A1型 マジックアイ付5球スーパー ミタカ電機(株) 1953年 13,500円

  

 

TUBES: 6WC5 6D6 6ZDH3A 6ZP1 12F 6E5, 6.5" Permanent Dynamic Speaker (Aria)

 戦前からの大手メーカ、ミタカ電機の5球スーパー。ごく平凡なセットだが、シャーシや使用部品に、東芝製セットとの共通点が見られる。
キャビネットやツマミのデザインも当時のマツダラジオに似ているが、これは模倣であろう。

(所蔵No.11960)

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クラウン(Crown) CS-??型 マジックアイ付6球スーパー 日精電機(株) 1953年頃

  

 TUBES: 6D6-6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5, Electro-dynamic Speaker (Crown)

 戦前からのラジオメーカの高級受信機。大型のセットで自社製のスピーカを使用している。このスピーカにはハム防止のためのニュートラライジングコイルを巻き込んである。ダイヤルにはNHKの主要局と開局間もない民放のコールサインが記されている。高級スピーカで音質を向上させると同時に、高周波増幅回路を付けて感度を改善しているが、短波は付いていない。民放開局の結果現れた高級中波受信機のひとつである。同じクラウンでもトランジスタラジオで有名な旭無線電機とは関係ない。日精電機(株)としては最後期の製品といえる。

(所蔵No.11948)

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クラリオン(Clarion) 5S4型 μ同調式5球スーパー 帝国電波(株) 1952年 卸10,200円

  

 

 戦前からのラジオメーカーを母体とする帝国電波の5球スーパー。
真空管は6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BKと平凡だが、キャビネット右上にロッドアンテナを備え、バリコンではなく、μ同調を採用している。
同社は後にカーラジオ専業となり、クラリオン(株)に社名変更し、現在でもカーオーディオメーカとして知られる。
このセットは、家庭用受信機でありながらカーラジオの要素技術がつぎ込まれているのがおもしろい。
家庭用ラジオからカーラジオへ転換するための習作といえるかもしれない。

(所蔵No.11307)

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テレビアン(Televian) 6S-502型 マジックアイ付5球スーパー 山中電機(株) 1953年 17,800円

  

 戦前からの老舗、山中電機のマジックアイ付5球スーパー。
6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5 の配列で6.5インチ・フィールド型ダイナミック(テレビアンD-6型)を駆動する。
同社製品の中でも高級なモデルである。青色に塗装されたシャーシはこの頃の同社製品の特徴である

(所蔵No.11243)

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ナナオラ(Nanaola) DX super 7S-18型 マジックアイ付6球スーパー 七欧通信機(株) 1953年

  

  

TUBES: 6D6-6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5, Electro-dynamic Speaker (Pioneer)

 戦前からの老舗、ナナオラの遠距離用6球スーパー。
テレフンケンなどのヨーロッパのセットを思わせるデザインで、オールウェーブのような大型のダイヤルが付いているが、実際には中波専用である。
何段もあるダイヤルはNHKと民放のコールサインが記入されている。
バンド切替に見える押しボタンは電源スイッチとトーンコントロールになっている。
地方の富裕層を対象とした遠距離用高級受信機である。高価だったらしく、製造番号も166と、生産台数の少なさを示している。
当時、同社は分裂騒ぎを起こし、近所にナナオ無線(株)というまぎらわしい会社ができた。
このため、同社製品には「類似品に注意」というラベルが付いている。

(所蔵No.11267)

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ナナオラ(Nanaola) NR5S-3型 5球スーパー 七欧通信機(株) 1953年 14,500円

  

 

 戦前からの大手メーカー、七欧通信機の5球スーパー。
6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK の配列で6.5インチ・フィールド型ダイナミックを駆動する。
パイオニアのスピーカがオリジナルかどうかは不明。当時の5球スーパーとしては回路、デザイン、価格ともごく平凡なもの。
キャビネット内部側面にアルミ箔が貼ってあり、アンテナ線が接続されている。
簡易的なループアンテナとしたものである。

掲載誌:電波科学1953.8

(所蔵No.11264)

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  ナナオ(Nanao) 6S-70型 マジックアイ付5球スーパー  1953年

  

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK, 6.5" Permanent Dynamic Speaker (Flower Vox PD-65A)

 1951年頃に戦前からの大手メーカ、ナナオラで内紛が起こり、このナナオ無線という紛らわしい会社が設立された。
この機種は、その「分家」が製作した5球スーパーである。
マークも良く似ているが、本家が"NRC"なのに対して"NARC"になっている。
伝統の側面調整型のIFTを使用しているが、こちらの分家のほうがマークの書体やスピーカの"Flower Vox"の名称など、古くからの資産を引き継いだようである。同社の最初の製品はナナオラで発売された製品のマークを直しただけのものだった。
もともとの七欧無線電気(この頃は七欧通信機)は、東京、目黒区下目黒に本社工場を構えていたが、ナナオ無線のほうはすぐ近くの中目黒にあり、どちらも広告には「東京 目黒」と書いてあるという泥仕合を演じた。こちらの分家のほうの消息はわからないが、本家のほうは1960年代前半に東芝の傘下に入り、消滅した。

(所蔵No.11949)

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ナカジマ 型番不明 mT管式5球スーパー 中島無線(株) 1953年頃

  

TUBES: 6BE6 - 6BD6 - 6AT6 - 6AR5 - 5MK9, 4" P.D.SP (Walts P-4), BC

 ポータブル専門メーカの中島無線が製造した初期のmT管を使用した5球スーパー。
キャビネットは1950年のアメリカG.E.の411型のコピーである。
オリジナルを原型として金型を製作したと思われるが、オリジナルより一回り大きく、各部の形状の丸みがきつく、シャープさがない。
オリジナルが軟質プラスチックにトランスレス・スーパーを収めたものだったのに対し、こちらのコピー品は、熱硬化性樹脂(ベークライト)キャビネットに、トランス式の5球スーパーを収めている。
大きなトランスを持つため、シャーシがキャビネットいっぱいになるほど大きく、重い。

日本のメーカ各社はアメリカのラジオに追い付くべく、終戦直後からアメリカ製ラジオのコピーを木やアルミ鋳物で製作してきた。
1950年代に入ると、mT管やプラスチックキャビネットを作れるようになり、コピーのレベルが上がってきた。
このセットは、まだまだアメリカ製品に及ばないレベルのコピー品だが、外見だけはかなり近いものが作れるようになってきている。
その後、ポータブルラジオを中心に日本製のコピー商品が欧米に輸出されるようになり、問題になっていくのである。

(所蔵No.11374)

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その他のメーカー


Yusei/郵政型スーパー 5球スーパー (財)郵政弘済会/ゴールデンスターラジオ(株) 1953年頃 

  

 

TUBES: 6WC5 6D6 6ZDH3A 6ZP1 KX-80BK, 6.5" Permanent Dynamic Speaker (Pioneer Model PA-6)

 (財)郵政弘済会(現:財団法人郵政福祉)は郵政事業職員の福利厚生のために1952年に設立された団体である。
このラジオについて資料は無いが、郵政職員向けに販売された低価格のラジオと思われる。
GORUDEN STAR RADIO CO., LTD. (スペルは現物どおり)という無名メーカの名前がダイヤルに入っている。
デザインは1951年のナショナルHS-700型(新民間放送2号型)のコピーである。
ダイヤルには1952年に開局したばかりの民放のコールサインが記載されている。
"Yusei"という立派な金属製のロゴや銘板が付いた本格的な個別仕様の製品である。
ブランドをつけるほどでなくても、郵政だけでなく、他の弘済会や共済組合でも安価なテレビやラジオなどの電化製品を斡旋することは1970年代まで広く行われていた。

(所蔵No.11882)

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オンケン(Onken) OS220型 マジックアイ付5球スーパー 無線枢機産業(株) 1954年頃

  

 DON(mott)真空管を生産していた無線枢機産業の5球スーパー。
6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F-6E5 の標準的な構成で6.5インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する。
真空管には自社製のDON製品が使われている。
mT管を使用したラジオが現れる中で低価格のST管を使用した従来型の5球スーパーが中小メーカから安価に供給された。
これはそのひとつである。

(所蔵No.11432)

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トピック(Topic) TRF-601型 5球スーパー トピックラジオ研究所 1952-53年 10,500円(卸7,300)

  

 中小メーカの小型5球スーパー。アルミ合金製のキャビネットが特徴である。
6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12Fの構成で、5インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する。
同社製品は、アルミ合金製キャビネットを使用したものが多く、小型で安価な機種が多い。
プラスチックキャビネットの普及で同社の技術は不要になったと思われる。

本機の電源コードおよび出力トランスは当館で修理したときに交換したもの。

(所蔵No.11032)

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レーンボウ(Rain Bow) No.D-200 5球スーパー レーンボウ電波工業製作所 1952年

  

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK, 6.5" P.D. Speaker: LEICA PD-6

 東京、大森にあった中小メーカ「レーンボウ電波工業製作所」(後にレインボウ電波工業)が製造した5球スーパー。
同社は当時業績不振に陥っていた七欧無線電気から1950年に独立して設立された。試作に近い少量生産に近かった初代のD-100に続く2台目の製品で、少ないながら量産された際sうぉのモデルである。
ダイヤルは当時試験放送を実施していたテレビ(丸ブラウン管)の画面をイメージしたものと思われる。ダイヤルには開局当時の初期の民放のコールが記されている。

同社はその後創業者の死去により1957年に廃業したが、現在までこのD-200の他にD-400、D-600、D-700の3種類が生産されたことが確認されている。

(所蔵No.11216)

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キョーセイ(Kyosei) 5球スーパー キョーセイ無線 1953年頃

  

 無名メーカの普及型5球スーパー。6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F の構成でパーマネント・ダイナミック(パイオニアPD-61)を駆動する。
キットか完成品かは不明である。

(所蔵No.11241)

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ノーマル(Normal) 6S-M1型 マジックアイ付5球スーパー 吉田電機産業(株) 1954年

  

 

 無名メーカの5球スーパー。6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK-6E5の構成でナショナル製6.5インチ・パーマネントダイナミックを駆動する。
外観はシャープAR-310 型のコピーである。
キャビネットは細部の加工がオリジナルより簡略化されているほか、微妙にデザインを変えようと努力した形跡が見られる。
また、この機種にはマークやサランネットなど細部が異なるバリエーションが確認されている。
本機は、主にキャビキットM-1型として供給された。

本機は塗装の劣化が激しい。裏蓋は失われている。

(所蔵No.11135)

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パール(Pearl) NR-54型 5球スーパー 日本ラジオ工業(株) 1951年頃

  

 日本無線の民生用ラジオ部門が分離、独立した日本ラジオ工業(略称は”JRC”となるところがミソ)の小型5球スーパー。
親会社と同じJRCのマークも付いている。6WC5-6D6-6ZDH3A-42-12F の構成で、フィールド型ダイナミックを駆動する。
周波数は新しい535-1605kcになっているが、IFは463kcの旧規格のままである。

本機はダイヤル指針が脱落している。本来は水平である。

(所蔵No.11587)

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パール(JRC) BR-12B 押鉤式5球スーパー 日本無線電機(株) 1953年

  

 

 日本無線の民生用ラジオ部門が分離、独立した日本無線電機の5球スーパー。日本ラジオ工業から社名変更したと思われる。
親会社と同じJRCのマークも付いている。6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK
この頃量産されるようになったプッシュボタン式選局を備える個性的なデザインのラジオ。
押しボタンは5個あり、JOAK,JOAK,FEN,JOKR,JOQRの東京の局の表示がある
シャーシ中央部をプッシュボタンのユニットが占めているため、左右に離れて部品が配置された特異なレイアウトのシャーシである。
構造が複雑でコストが高かったと思われる。キャビネットのデザインは個性的だが時代の流行に合っているとは言い難い。
1953年8月の資料に同社の名前がないことから、この年に消滅したものと思われる。
日本無線は終戦直後いち早く民生用ラジオ業界に参入し、平和産業への転換を果たし、再び軍需や業務無線の製造に戻った結果、同社の民生用ラジオ部門はその役目を終えたのである。

(所蔵No.11269)

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パール(Pearl)スタンドラジオSR-1型 電気スタンド型5球スーパー 日本無線電機(株) 1953年

  

 

 日本無線の民生用ラジオ部門が分離、独立した日本無線電機の電気スタンド型のユニークな5球スーパー。
GT管を使ったトランスレスで、12SA7-12SK7-12SQ7-35L6-35Z5 の構成である。
スピーカはカバーの中に下向きに取り付けられている。電気スタンドとラジオは電源スイッチが独立している。
蓋を支えるフレームの強度が弱く、このセットでも破損している。

本機の傘は同時代のものを後から取り付けたものである。

(所蔵No.11041)

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光和(Kowa)号A型 マジックアイ付5球スーパー ミツワ通信工業(株) 1953年

  

  
                                  短波コンバータ用ソケット

 中堅メーカー、ミツワ通信工業の5球スーパー。
6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BKの構成で、6.5インチ・パーマネント・ダイナミック(Mitsuwa Vox)を駆動する。
回路は平凡だが、おもしろいのは、短波コンバータ(配置図には「アダプタ」と表記)用のソケットが付けられている点である。
日本短波放送(NSB)開局以前にこのような装備があるセットは珍しい。
ソケットはシャーシを継ぎ足して取り付けられており、標準的なものではなく、特別な仕様の様に思える。
このセットは、銘板の検査者が「成長の家文化科学部」となっている。宗教法人が特注したものと思われるが詳細は不明である。

(所蔵No.11407)

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 ピジョン(Pigeon) 6S-2型 マジックアイ付5球スーパー 相互電機(株) 1953年 16,000円

  

 中堅メーカーの5球スーパー。6WC5-6D6-6ZDH3A-42-12F/80BK-6E5の構成で、6.5インチパーマネント・ダイナミック(NISSAN P6B)を駆動する。

本機は黒塗装だが、塗り直しの可能性がある。

(所蔵No.11348)

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 ピジョン(Pigeon) TS-53A型 5球スーパー 相互電機(株) 1953年 12,500円

   

中堅メーカーの5球スーパー。構成は6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F.。
マークには1952年に発売されたレイモンド・ローウィのデザインで評判になったタバコ「ピース」の鳩が「流用」されている。

(所蔵No.11509)

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ピジョン(Pigeon) PR-312-B型 プリセット式5球スーパー 相互電機(株)  1954年頃

  
               外観(左)と、プリセット局表示部(右)

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK-6E5, 6.5" P.D.SP.

5つの放送局をプリセットして直接選局できるマジックアイ付5球スーパー。
この頃、プッシュボタンとミュー同調を組み合わせたプリセット式5球スーパーが松下や八欧から発売された。
このセットも基本的にはこれらの大手メーカの製品に倣ったものだが、プッシュボタンは高価なため、ロータリースイッチが使われている。
プッシュボタンに見える部分は、ランプで切り替えを表示するディスプレイである。
プリセットは、同調と局発の2つのコイルを調整する必要があり、むずかしい。

本機は、長野県長野市篠ノ井で使われていた。
プリセット選局には、地元のNHK長野第一、第二、信越放送の他に、東京の日本文化放送(現文化放送)とラジオ東京(現TBS)の2つがセットされている。
1954年前半、東京で開局していた民放は日本文化放送とラジオ東京のみであった。
両局とも送信所が埼玉県にあり、長野県北部もサービスエリアにぎりぎり入っていた。
長野県内での初期の民放がどのように聞かれていたかがわかる貴重な資料である。

(所蔵No.11A008)

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メロダイン(Melodyne) MS-6L?型 mT管式5球スーパー 東洋産業ラジオ製作所 1953年 15,800円

  

 戦後派の中小メーカー、東洋産業の5球スーパー。かなり早い時期のmT管式5球スーパーである。
6BE6-6BD6-6AT6-6AR5-6X4-6E5 という初期の配列である。キャビネットはST管式と変わらないサイズである。
大型のダイヤルは分厚いガラス製で、ダイヤル上部にマジックアイが組み込まれている。
同社らしいユニークなデザインが特徴である。

(所蔵No.11524)

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アルファ(Alpha) 6B-32型 マジックアイ付5球スーパー 日本アルファ電気(株) 1954年

  

 安立電気から分離された日本アルファ電気のマジックアイつき5球スーパー。同社の最後期の製品と思われる。
6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK-6E5 の平凡な構成だが、ダイヤル指針のセンターにマジックアイが入っているデザインがおもしろい。

(所蔵No.11446)

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SE マジックアイ付5球スーパー Sinko Electric Co., Ltd. 1954年頃

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F-6E5, 6.5" Permanent Dynamic Speaker (Lotte)

無名メーカの普及型5球スーパー。比較的小型のキャビネットにまとめられている。
完成品か、キャビキットを組み立てたものかははっきりしない。
mT管の小型ラジオが市場に出てきたこの時期、無名メーカーのST管ラジオは別の形の廉価版ラジオとしてデパートなどで販売されていた。

(所蔵No.11325)

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TOKO SUPER マジックアイ付5球スーパー 東興電機(株) 1954年頃 

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F-6E5

 無名メーカーの5球スーパー。このメーカーはキャビネットメーカーとして知られる。
6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F-6E5 の構成で、"TOKO"ブランドの真空管で揃っている。
銘板がなく、キットを組み立てたものである可能性もある。
mT管の小型ラジオが市場に出てきたこの時期、無名メーカーのST管ラジオは別の形の廉価版ラジオとしてデパートなどで販売されていた。

(所蔵No.11420)

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ワルツ マジックアイ付5球スーパー 東京無線電機(株) 1955年

  

 無名メーカの普及型5球スーパー。6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1 -12F-6E5 の平凡な構成で、6.5インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する。
真空管は"E.V.T"という無名ブランドのものが付いている。この当時流行した低価格受信機のひとつと思われる。

(所蔵No.11293)

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外国メーカ製品


G.E. Model 411 トランスレス5球スーパー GENERAL ELECTRIC Co. (U.S.A.) 1950年 

  

TUBES: 12SA7 - 12BA6 - 12SQ7 - 50C5 - 35W4, AC105-125V, BC: 540-1600kc,

 アメリカ製のトランスレス5球スーパー。真空管はmT管とGT管の混合構成である。
シンプルなデザインが受けたのか、日本企業によるコピー品が作られた。

(所蔵No.11402)

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