5球スーパー全盛期(1) 大手メーカ編
 - 1951-55 (昭和26-30年) -


 1951年の民放開局以降、新しく生産される再生式受信機は激減し、1953年からは統計から消滅した。1951年3月の市場調査では、東京都内の販売店店頭に再生受信機は見られなかったという(ラジオ年鑑1951年版による)。朝鮮特需以降の好景気によりラジオの生産、聴取加入とも順調に増加を見せた。1953年にはテレビ放送が始まるが受像機も高価でまだまだラジオが放送の中心であった。MT管やGT管を使ったセットも現れるが、ST管の5球スーパー中心の時代である。

 また、民放の開局以外の大きな変化としては、1950年以降中波のバンドが550-1500kcから現在のものに近い535-1605kcに拡大されたこと、および中間周波数が世界標準の455kcになった(従来の463kcは海岸局と干渉したという)ことがある。
1951年以降、IFが455kc、中波のバンドが535-1605kcのセットが主流となる。

メーカーとしては戦前からの大手の松下、早川、戦後参入した大資本である東芝、新興勢力の八欧が市場の大半を占めていた。そして山中、ミタカ、七欧などの戦前から続くメーカーはこの時点ではまだ命脈を保っていた。この時代に大阪音響、三洋電機が参入した他ポータブルラジオ専門メーカーなど中小メーカーも活躍していた。蓄音機業界からの老舗であるビクター、コロムビアは健在であったが、日本ビクターは1954年に松下の傘下に入った。トランジスターのソニー、家電の日立が参入(日立は再参入)するのは昭和30年(1955年)以降である。

 この時代の各社の製品を見ると、2台目需要を考慮した小型ラジオから高級電蓄まで幅広いラインナップを揃える松下などの大手メーカーと、デザイン違いの数機種しか持たない中小メーカーの商品力の差が現れるようになっていることがわかる。デザインも終戦直後のデザインを引きずったようなものから流行の先端を行くものまでが混在している。

 また、この時代のトピックとして、RCA特許問題がある。これは、1952年に米国RCAから、テレビ、ラジオに関する特許契約締結申し入れが日本のメーカ各社に起こされた事件である。ラジオに関して言えば、この特許とは、スーパーヘテロダインの特許である。本来なら切れているはずのものだが、戦時中の休止期間のため、まだ生きていたのである。このため、日本のメーカ各社は1952年の神戸工業をを皮切りに続々と契約することになった。特に、この頃少数ながらポータブルラジオを中心に輸出が始まっていた。このため、ポータブル専業メーカのような中小メーカまでも締結することになった。金を払ったのなら宣伝に使おうということか、この時代のラジオには「米国RCAとの技術提携契約に基づく特許使用」など、さもRCAから技術導入したかのような文句がカタログやステッカに表示されていることがある。特許料を払ったのは事実だが、ラジオがスーパーヘテロダインというだけで別にRCAが技術供与したわけではない。このような表示は、どちらかというと中位以下のメーカ製品に多い。ただ、日本が独立したこの時期から、1951年の松下−フィリップスを初めとして本格的な外資との提携による技術導入が行われていくのである。

参考

<物価の目安> 
1951年(昭和26年)頃
小学校教員の初任給5,050円、鉛筆1本10円、電球(60W)1個85円、もりそば1杯17円

対ドルレート 1ドル=360円

ここでは、この時代のラジオのうち、大手メーカの製品を取り上げた。ここにない中小メーカ製品については(その2)を参照のこと。
また、ここでは主にST/GT管を使用した1954年以前の製品を取り上げる。
1954年以降になると、mT管とST管を使ったセットが両方存在するが、わかりにくくなるため、1954年以降のmT管を使ったセットはST管からmT管へ、5球スーパーの普及 に含めた。

(注)
1955年まではマジックアイを球数に入れて表記するのが一般的だったが、わかりにくいため本稿では商品名を除き、「6球スーパー」ではなく、「マジックアイ付5球スーパーと表記する。

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メーカー別目次

ナショナル製品 松下電器産業(株) 

AS-450型 3バンド6球オールウェーブスーパー 1951-53年 26,000円 

AS-400型 3バンド5球オールウェーブスーパー 1951-52年 17,900円 

AS-300型 5球オールウェーブスーパー 1951-52年 13,800円

US-200型 民間放送2号型5球スーパー 1951年 9,950円

HS-600型 新民間放送型第2号5球スーパー 1951-52年  7,900円 マグネチック・スピーカ使用

HS-700型 新民間放送型5球スーパー 1951-52年 12,300円

NS-100型 52年型5球スーパー 1951-52年 12,800円

PS-51型  5球パーソナルスーパー 1951-52年 14,500円

PS-52型  5球パーソナルスーパー 1952年 13,900円

PS-71型  リムロック管使用パーソナルスーパー 1953年 14,000円

PS-54型  GT管トランスレス5球スーパー 1953年 11,950円

HS-1000型 5球国民スーパー 1953年 9,850円

NS-200型 標準5球スーパー 1953年 14,800円

DX-330型 GT管5球スーパー 1953年 13,500円

DX-330 後期型? マジックアイ付mT管5球スーパー 1954年頃

QA-700型 5球2バンドスーパー  1953年 19,800円

5X-568型 5球スーパー 1954年  価格不明

BX-235型 7球マグナ・スーパー 1954年 価格不明 (マジックアイ付高一6球スーパー)

BX-270型 6球マジックスーパー 1954年 14,900円 (マジックアイ付5球スーパー)

BX-250型 6球スナップ・スーパー  1954-55年 19,800円 (プッシュボタン式マジックアイ付5球スーパー)

AX-530型 スネイル・オールウェーブスーパー 1955-56年 21,500円

BX-290型 7球オムニスーパー 1955年 21,800円 (マジックアイ付高一6球スーパー)

シャープ製品  早川電機工業(株) 

5R-51型 5球スーパー 1951年頃

AL-5型  2バンド5球スーパー 1951年頃 卸8,150円

AL-10型 2バンド5球スーパー 1952年頃

AR-310型 マジックアイ付5球スーパー 1952-53年 16,500円
  (参考品)ノーマル(Normal) 6S-M1型 1954年 吉田電機産業(株) (AR-310型のコピー品)

AR-330型 マジックアイ付5球スーパー 1953年 15,900円

5R-800型 奉仕型5球スーパー 1952-53年 9,850円

5R-820型 5球スーパー 1953年 9,980円

SR-280M 5球スーパー 1952-53年 14,250円

RS-355型 マジックアイ付6球スーパー 1954-55年 19,800円

マツダ製品    東京芝浦電気(株) 
マツダラジオ 513A 5球スーパー 1950-53年  9,850円

マツダラジオ 518A 5球スーパー 1954年 9,900円

マツダラジオ 614A マジックアイ付5球スーパー 1953-54年 15,500円

マツダラジオ 6SC-19  マジックアイ付5球スーパー 1955年頃

ゼネラル製品  八欧無線(株) 
6S-5型 マジックアイ付5球スーパー 1951-52年 卸9,650円

6S-B1型  プッシュボタン式5球スーパー 1953-54年 18,800円

6S-12型  マジックアイ付5球スーパー  1954年 

サンヨー製品  三洋電機(株) 

SS-52A型 (プラスチックキャビ) 5球スーパー 1952年 8,950円

SS-48型 5球スーパー 1952年 12,500円

SS-53型 (プラスチックキャビ) 5球スーパー 1953年 11,700円

ビクター製品  日本ビクター(株) 

7AW-33型 マジックアイ付3バンド6球スーパー 1953年 32,000円

コロムビア製品 日本コロムビア(株) 

R-522型改? GT管トランスレス5球スーパー 1952-53年

R-524型 5球スーパー 1953年 15,000円 

オンキョー製品 大阪音響(株) 

OS-55型 マジックアイ付5球スーパー 1953-54年(ラジオ1号機) 

TEN製品 神戸工業(株) 

5G-60型 GT管5球スーパー 1953年

S-502型 SUPER STAR 5球スーパー 1953年頃

5S-500型 5球スーパー 1954年 

ダイヤトーン製品 三菱電機(株) 

SB-12型 5球スーパー 1954年 14,700円 

日立製品 (株)日立製作所 

H-101型 5球スーパー 1955-57年  15,700円

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ナショナル製品 松下電器産業(株).


AS-450型 マジックアイ付3バンド6球オールウェーブスーパー  1951-53年 26,000円

  

TUBES: 6D6-6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5, 6.5" Electro-ynamic Speaker (National Model 6F-51R) ,BC, SW1:2.7-7.5Mc, SW2: 7.5-22Mc

 ごく特殊なAS-500型(39,800円)を除けば実質的に松下の最高級ラジオとなる3バンドオールウェーブスーパー。
シャーシが全て塗装されている点など、下位機種と一線を隔した構造となっている。ピックアップ端子だけでなく、プレーヤ用のコンセントも用意されている。
高一付の3バンドスーパーの性能を改善するため、ピーキングコイルが使われている。
低周波部も42-80にフィールド型ダイナミックを採用して出力を向上させている。
このセットに使われているマジックアイの窓は、汎用品として多くの部品メーカから供給されているが、このセットに使われたのが最初で、松下のオリジナルである。
この機種は1953年まで販売され、価格が27,600円に値上げされた。

 この時代、同社の通常のキャビネットは天然木単板の塗装仕上げだが、上位機種は、ベニヤまたはツキ板張りとなっている。
凝ったデザインと高い仕上がりを求めてのことと思われるが、ツキ板の仕上げに問題があるらしく、はがれているものが多い。
本機もその例に漏れず、ひび割れやはがれを生じていて、一部補修した。

(所蔵No.11884)

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AS-400型 3バンド5球オールウェーブスーパー 1951-52年 17,900円

  

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK, 6.5" Permanent Dynamic Speaker (National)

 松下の3バンドオールウェーブスーパー。AS-450型の下位機種となる。
上位機種に対して、高周波増幅、マジックアイが無く、整流管が半波となってスピーカがパーマネントである。
当時提携したばかりのフィリップスからの影響だろうか、ヨーロッパ風の個性的なデザインである。
当時の広告には「ラジオセットの工芸品化を目指す苦心の傑作」とある。
デザインに力を入れていた同社らしいが、構造に無理があったらしく、保存状態の良いものが少ない。
この機種は2年にわたって販売されたが、1951年10月に18,800円に値上げされた。

(所蔵No.11740)

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AS-300型 5球オールウェーブスーパー  1951年 13,800円

  

 海外放送用の6-18Mcの短波バンドを持つオールウェーブ。
価格は13,800円と、オールウェーブにしては安い。
真空管は6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK で、自社製6.5インチ・パーマネント・ダイナミックPD-65Aを駆動する。
1951年10月にはデザインをほとんど変えずにキャビネットを少し大型化し、スピーカをフィールド型のFD-65Bに変更したAS-300Fにマイナーチェンジされた。
これを機会に15,200円に値上げされた。 
翌年にはこの改良型はAS-300F と型番が変更され、16,300円に値上げされた。

(所蔵No.11156)

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US-200型 民間放送2号型5球スーパー 1951年 9,950円

  

 

 松下の、1万円を切る低価格の5球スーパー。民放開局に合わせて「民間放送型」と称して発売された。
6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F で自社製の6.5インチのパーマネント・ダイナミックを駆動するごく平凡なセットである。
比較的小型にまとめられ、量産を考慮した合理的な設計で低価格を実現している。

(所蔵No.11322)

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HS-600型 新民間放送型5球スーパー 1952年 7,900円

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F, 8" Magnetic Speaker (National PM-200)

 この年の松下製ラジオの中で最も安い製品。
標準的な構成の5球スーパーでありながら前年に発売していた4球スーパーNA-4型(7,500円)とほとんど変わらない価格を実現している。
その秘密は簡素なキャビネットだけではなく、直結ダイヤルにマグネチックスピーカーという、国民型受信機のような仕様にある。
音質はともかく感度や分離は5球スーパーの性能なので、低感度の4球スーパーと違って山間部でも使用可能であった。
民間放送開局にあわせて経済力の低い地方にスーパーを普及させるために用意された商品。
松下電器の販売店向け資料によると、スピーカバッフルの穴は6.5インチパーマネント・ダイナミックにあわせてあけられていて、顧客の要望によってダイナミックに交換して販売することも薦められていた。
戦後、5球スーパーにマグネチックスピーカーを使用したセットはメーカー品としては他に例を見ない。
実際には売れなかったらしく、翌1953年のカタログからは落とされている。

掲載誌:ナショナルショップ 1951年10月号

(所蔵No.11501) 

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HS-700型 新民間放送型第2号 5球スーパー  1951-52年  12,300円

  

TUBES: 6WC5 6D6 6Z-DH3A 6Z-P1 12F, Permanent Dynamic Speaker (National PD-65F)

 「民間放送型」スーパーの2世代目の機種。普及用の極端に安価な「新民間放送型」HS-600型に追加される形で1951年末に「新民間放送型第2号」として発売された標準的な5球スーパーである。保守的で安定感のあるデザインは人気があり、多くのキャビネットメーカがコピーした。
民放のコールサインと周波数が決定したため、ダイヤルに表示されている。

本機は、サランネットが傷んでいる

掲載誌:ナショナルショップ 1951年11月号

(所蔵No.m11007: 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション)

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NS-100型 52年型5球スーパー 1951-52年 12,800円

  

TUBES: 6WC5 6D6 6Z-DH3A 6Z-P1 12F, Permanent Dynamic Speaker (National Model 6P-51R, 6.5")

 松下が1951年後半に、1952年型として発表した標準型5球スーパー。
従来、ダイヤルやツマミが右側に寄って配置されるのが一般的だったラジオのデザインを左右対称としてモダンなものにした。
透明なプラスチックに穴を開けたダイヤルを同社は「リングライトダイヤル」と称した。
このモデルは1953年にNS-200型にモデルチェンジされた。

入手したときに真空管が失われていたため、当館で手持ちの松下製真空管を取り付けた。

(所蔵No.11850)

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PS-51型RC-64型  5球パーソナルスーパー 1951-52年 14,500円

  

 TUBES: 6BE6-6BD6-6AT6-6AR5-6X4, Permanent Dynamic Speaker (5")

松下が初めて軟質プラスチックとmT管を採用した小型5球スーパー。アメリカ製ラジオのようにループアンテナを採用している。
トランス式のため狭いシャーシの配置には苦労したらしく、真空管のシールドが厳重である。量産されたばかりのmT管(東芝製)は価格が高く、新しい挑戦となったプラスチックキャビネットのコストダウンが進まず、この小型受信機の販売価格はオールウェーブ受信機並みの高価なものになってしまった。このような小型受信機は都会の2台目需要を狙ったものだが、高価すぎて売れなかった。

本機は、片側のつまみおよび真空管が失われている。

(所蔵No.11A017)

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PS-52型  5球パーソナルスーパー 1951-52年 13,900円

  

TUBES: 6BE6-6BD6-6AT6-6AR5-6X4, Permanent Dynamic Speaker (5")

 mT管を使った初期の小型5球スーパー。6BE6-6BD6-6AT6-6AR5-6X4の構成で、5インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する。
1952年型として、前年に発表されたPS-51型をモデルチェンジしたもの。
PS-51型がプラスチックキャビネットを採用していたのに対し、こちらは木製キャビネットである。
PS-51型とPS-52型は1951年中は併売された。
キャビネットに製造上か、コスト面の問題があったものと思われる。オートトランスとループアンテナを採用して小型化している。
PS-51型より少し安いが、真空管が高価だったために、大型の5球スーパー並みの価格になってる。

(所蔵No.11732)

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PS-71型  リムロック管使用パーソナルスーパー 1953年 14,000円 

  

  リムロック管(フィリップス製)

 松下のパーソナルラジオシリーズの1つ。このセットはきわめて特異なオートトランス式セミトランスレス5球スーパーである。キャビネットは木製である。
このセットにはフィリップスから輸入されたリムロック管が使われている(球の表示もフィリップスのままである)。
配列はUCH-42 - UF-41 - UBC-41 - UL-41 - UY-41である。
アンテナには当時最新のバーアンテナが使われている。真空管以外の部品やデザインはフィリップスとは違う独自のものである。
ライセンスの問題があったのかもしれないが、オリジナルの技術開発を目指したものと思われる。
このセットの価格はST管を使った大型のスーパーより高価だった。
結局、リムロック管が国内で生産されることはなく、トランスレス用のmT管が普及するまでの実験的なセットになった。
後に同社がPhilips/Mullardのトランジスタを採用したことから考えると本気で国産化するつもりだったのかもしれない。
しかし、本家フィリップスでもリムロック管はmT管に置き換わってしまった。
このセットの維持には苦労したようで、mT管に改造されているものも多い。

(所蔵No.11040)

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PS-54型  GT管トランスレス5球スーパー 1953年 11,950円 

  

 松下のパーソナルラジオシリーズの1つ。比較的低価格だったが、それでも同社のST管を使った普及型スーパーより高価だった。
自社製の12SA7-12SK7-12SQ7-35L6-35Z5を使用する。これらの球はアメリカのものと名称は同じだが細部がかなり異なる。
真空管はトランスレス用だが単巻きのトランスを持っている。電源事情が不安定だったためと思われる。
デザインはアメリカ風だが、アメリカで一般的だったループアンテナではなく、ヨーロッパに多かったバーアンテナが使われている。
このあたりは提携したフィリップスからの技術が生かされていると言える。
当時の家庭用ラジオではバーアンテナやループアンテナは一般的ではなかったが、小型受信機は「アース/アンテナ不要」が売り物だったのでアンテナを自蔵していることが多い。

本機は、バーアンテナが折れている。

(所蔵No.11260)

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HS-1000型 5球国民スーパー 1953年 9,850円

  

松下の、1万円を切るもっとも低価格の5球スーパー。普及型として「国民スーパー」と称して発売した。
6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F で6.5インチのパーマネント・ダイナミック(ナショナル6P-55)を駆動するごく平凡なセットである。
比較的小型にまとめられ、量産を考慮した合理的な設計で低価格を実現している。

(所蔵No.11323)

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NS-200型 標準5球スーパー        1953年 14,800円

 

 松下の中級5球スーパー。配列は6W-C5 - UZ-6D6 - 6Z-DH3A - UZ-42 - KX-80BK。
広告には「テレビタイプをラジオに取り入れた芸術と科学の結晶」とある。
今ひとつ理解できないが・・・それはともかく1953年にしては斬新で欧米の模倣でないことは間違いない。
キャビネットはかなり薄型に作られている。

(所蔵No.11146)

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DX-330型 GT管5球スーパー 1953年 13,500円

  

 単巻きトランスを持つ、トランスレス用GT管を使用した小型5球スーパー。ループアンテナを採用。
12SA7-12SK7-12SQ7-35L6-35Z5(自社製)の構成で5インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する。
プラスチックキャビネットだが、まだ軟質プラスチックではない。電源事情が悪いためか完全なトランスレスに踏み切れないでいる。
トランスを持つため重く、硬質プラスチックの性質上割れやすいという欠点を持つ。
工業デザイン賞に入選した機種だが、デザインのモチーフが英国QUAD社のチューナであることは明らかである。
ただし、この横に長く、背の低いデザインはその後のデザインの主流となる。
GT管にループアンテナという一昔前のアメリカ製ラジオと同じ形式のセットはmT管の量産化に伴って作られなくなり、短命に終わった。

本機は、ループアンテナを焼損したらしく、普通のアンテナコイルに交換されている。

(所蔵No.11227)

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DX-330 後期型? マジックアイ付mT管5球スーパー 1954年頃

  

TUBES: 6BE6 6BD6 6AT6 6AR5 6X4 6E5M , BC: 535-1605kc, 5" P.D.SP.

DX-330型は、キャビネットを変更せずに、mT管にマイナーチェンジされた。
外観の変化は、ダイヤルの文字が金色から白色になっていることとマジックアイが追加されていることだけである。
トランスレス用のGT管は6.3VのmT管に変更され、セミトランスレスから通常のトランス式に変更された。
裏蓋に取り付けられていたループアンテナはバーアンテナに変更された。
シャーシのサイズは同じだが、真空管の小型化によりレイアウトが改善されている。
1955年のカタログにこのモデルはない。ごく短期間だけ作られたものと思われる。
本機は、ラベルがはがれているため、型番がDX-330のままかどうか確認できていない。

本機のキャビネットは2か所破損している。

(所蔵No.11A037)

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QA-700型 5球2バンドスーパー      1953年 19,800円

  

 

 1953年発売のオールウェーブスーパー。6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK-6E5の構成で、自社製8インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する。
大型スピーカやトーン・コントロールなど、音質にも配慮した高級機である。
ダイヤルのデザインからは5バンドの通信用受信機のように見えるが、実際には短波は6-18Mcのひとつだけで、中波のダイヤルを除けば、放送局の所在地を記入しているに過ぎない。
一見豪華そうに見せる、うまいデザインである。

(所蔵No.11051)

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5X-568型 5球スーパー 1954年 価格不明 

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK, 6.5" Permanent Dynamic Speaker (National Model P-6504)

 標準的な回路構成の5球スーパー。パネルにプラスチックを多用し、新しい感覚のデザインになっている。
普及型のセットにST管が使われた最後の世代のセットである。

本機は、パネルの汚れ、ツキ板の欠落が見られる。また、ツマミ正面の飾りがなくなっている。

(所蔵No.11914)

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BX-235型 7球マグナ・スーパー 1954年 価格不明 (マジックアイ付高一6球スーパー)

  

  

 TUBES: 6D6-6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK-6E5

 高周波増幅を備え高感度と高音質を追求したセットで、DX、LOCALの切替スイッチを持つが、短波は無く、中波専用である。
トーン・コントロール、ピックアップ端子を備え、自社製8インチ・パーマネント・ダイナミック(8P-32S)を採用している。
このような高級受信機は、民放開局後、地方の富裕層が都会の民放を聞く需要が増えたため、各社から発売された。
オーディオ機器の要素もあり、その後のハイファイラジオにつながる製品である。
翌1955年にはBX-290型にモデルチェンジした。

前面パネルのネットは、現在は褪色しているが、元は周囲が青磁色、ダイヤル内が赤であった。

(所蔵No.11047) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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BX-270型 6球マジックスーパー  1954年 14,900円 マジックアイ付5球スーパー

  

  

 中波5球スーパーとしては中級のモデル。プラスチックと南米産ゼブラ材をを大胆に使ったパネルデザインに特徴がある。
このように操作ツマミが縦に並ぶデザインはMT管時代のハイファイラジオでは一般的になるが、この時代としては斬新である。
操作部がシャーシ外にあるためシャーシが薄型になっているが、ダイヤル機構や操作部の構造は複雑で、デザイン優先で設計されたことがわかる。
松下は同年DX-350型が毎日新聞工業デザイン賞特選を受賞しており、工業デザインの重要性に早くから気づいていたメーカーである。
この頃から従来保守的だったデザインが個性的になっていく。

本機は中央のツマミの飾り金具が失われている。

(所蔵No.11451)

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BX-250型 6球スナップ・スーパー  1954-55年 19,800円 (プッシュボタン式マジックアイ付5球スーパー)

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK-6E5 , 6.5" Permanent Dynamic Speaker (National 6P-71R)

 プッシュボタン選局を備えたマジックアイ付5球スーパー。
プッシュボタンは5局セットでき、基本的に販売店で各地域の局をプリセットして販売された。
ボタンの窓には写真のようにAからEの文字が印刷されているが、プリセット後に、地域別のコールサインを印刷したシートを挿入した。
プリセットの方法は説明書やセット内の表示に記載されているが、局発と同調の2つのダストコアを回す必要があり、かなり難しい。
下から2番目の”MANU”ボタンを押すと、通常の選局ツマミによる同調ができた。
この年の同社のラインナップの中では、中波専用5球スーパーとしてはもっとも高価なモデルだった。

本機は、ツマミ1個および裏蓋が失われている。また、キャビネットの塗装劣化が著しい。

(所蔵No.11784) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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AX-530/D型 スネイル・オールウェーブスーパー 1955-56年 21,500円

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK-6E5, 8" Permanent Dynamic Speaker (National 8P-32)

 松下の全波受信機。左のダイヤルはバンドスプレッドとなっている。キャビネットの仕上げも良く、高級なセットである。
この機種は、当初短波のバンドを、海外放送用の6-18Mcで発売されたが、1956年に日本短波放送対応のためバンドを4-12Mcに変更したAX-530D型(DはDomesticの意か)にマイナーチェンジされた(写真はAX-530D型)。

(所蔵No.11226)

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BX-290型 7球オムニスーパー  1955年 21,800円 (マジックアイ付高一6球スーパー)

  

TUBES: TUBES: 6D6-6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK-6E5, BC: 535-1605kc,
7" Permanent Dynamic Speaker (National 7P-51RF)

中波専用の高周波1段付き6球スーパー。遠距離受信とハイファイを両立させた高級モデルである。
前年のモデルBX-235型をモデルチェンジしたもので、シャーシはほぼ共通である。

左から2番目のツマミはレプリカのため、色が異なっている。

(所蔵No.m11035) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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シャープ製品  早川電機工業(株)


5R-51型 5球スーパー 1951年頃

   

 中波帯が535-1605kcに変更された直後のものと思われる5球スーパー。
6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F という普及型の構成である。
1948年に発売された小型5球スーパー5R型の後継機種である。

(所蔵No.11454)

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AL-5型 2バンド5球スーパー 1951年頃 卸8,150円

  

 

 中波が新バンド(535-1605kc)に対応した直後のオールウェーブスーパー。まだ「全波受信機」と表記されている。
6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F の配列で自社製6.5インチパーマネント・ダイナミック(PD-67S)を駆動する。
全波というと高級品ということになるが、この機種は普及型セットと共通のスピーカや真空管を使い、比較的小型で保守的なデザインにまとめられている。
どちらかというと普及型を意識した全波受信機といえる。短期間でAL-10型にマイナーチェンジされた。

(所蔵No.11700)

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AL-10型 2バンド5球スーパー 1952年頃

  

 

 AL-5型をマイナーチェンジしたオールウェーブスーパー。ダイヤル部がプラスチックを使った新しいデザインに変更された。
シャーシのレイアウトが変更され、出力管と整流管が-6ZP1-12Fから42-80HKに変更されたため、音声出力が拡大された。

(所蔵No.11343)

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AR-310型 マジックアイ付5球スーパー 1952-53年 16,500円

  

  

 同社の中波スーパーの中ではもっとも高級なモデル。
6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK-6E5 の構成で、自社製パーマネントダイナミックPM-60型を駆動する。
大型のダイヤル上段に全国のNHK局名、下段に開局直後の民放のコールが記入されている。
バランスの良いデザインはNormal 6S-M1型のようなコピー品を生んだ。

掲載誌:電波科学1953.8

(所蔵No.11655) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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ノーマル(Normal) 6S-M1型 マジックアイ付5球スーパー 吉田電機産業(株) 1954年

  

 

 無名メーカの5球スーパー。6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK-6E5の構成でナショナル製6.5インチ・パーマネントダイナミックを駆動する。
外観はシャープAR-310 型のコピーである。
キャビネットは細部の加工がオリジナルより簡略化されているほか、微妙にデザインを変えようと努力した形跡が見られる。
また、この機種にはマークやサランネットなど細部が異なるバリエーションが確認されている。
本機は、主にキャビキットM-1型として供給された。

本機は塗装の劣化が激しい。裏蓋は失われている。

(所蔵No.11135)

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AR-330型 マジックアイ付5球スーパー  1953年    15,900円 

  

 

 TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK-6E5

 1953年後半に発売された、同社の中波スーパーの中ではもっとも高級なモデル。
自社製7インチパーマネントダイナミックPM-70型を駆動する。
大型のダイヤル目盛には、開局直後の民放のコールが記入されている。
デザインが共通の卓上電蓄GR-530型も存在した。

本機はツマミが2個失われている。

掲載誌:電波科学1953.10

(所蔵No.11655)

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5R-800型 奉仕型5球スーパー 1952-53年 ¥9,850円

  

TUBES: 6WC5 6D6 6ZDH3A 6ZP1 KX-12F, 6.5" Permanent Dynamic Speaker (Sharp Model PD-67S)

 1万円を切る低価格の5球スーパー。
6WC5 - UZ-6D6 - 6Z-DH3A - 6Z-P1 - KX-12Fの配列で自社製6.5インチパーマネント・ダイナミック(PD-67S)を駆動する。
1953年中に5R-820型にモデルチェンジされた。

(所蔵No.11345)

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5R-820型 5球スーパー 1953年 ¥9,980円

  
       (左) 初期型    (右) 後期型

 

1万円を切る比較的低価格の5球スーパー。そのため配列は6WC5 - UZ-6D6 - 6Z-DH3A - 6Z-P1 - KX-12Fである。
1953年の新製品で、旧型の5R-800型から一気にモダンなデザインに変更された。
当初は上級機種のAR-330型のデザインを踏襲したものだったが、木箱の額縁が、より直線的なデザインに改められた。
普及価格ながら幅が広く、高級感を感じさせるデザインになっている。
この「額縁」状のデザインはその後他社にも影響を与えていったようである。

(後期型:所蔵No.11431) ( 初期型:m11006: 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション)

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SR-280M 5球スーパー 1952-53年 ¥14,250円

  

 

 シャープの比較的高級な5球スーパー。
6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK/BK の標準的な構成で7インチの自社製パーマネント・ダイナミック(PM-60型)を駆動する。
丸型のユニークなパネルは、戦前の英国Ecko社のラジオをモチーフにしたもののように見える。
プラスチック成形の技術が進歩し、自由なデザインに生かされるようになった一例である。

(所蔵No.11364)

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シャープ RS-355型 マジックアイ付6球スーパー 早川電機工業(株) 1954-55年 19,800円

  

 シャープの高級受信機。6D6-6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5の構成で、8インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する高一付6球スーパー。
高周波増幅を備えて遠距離受信が可能なだけでなく、大型スピーカや音質調整、PU端子を備えている点で電蓄の要素を備えている。
キャビネットのデザインは、1950年のアメリカ、フィルコ社の海外向け高級受信機トロピック3104型に範をとったもの。
ダイヤルのデザインはオールウェーブ風だが、中波のみである。
価格も普通の5球スーパーが1万円を切った頃に19,800円と安いオールウェーブより高い値が付けられていた。

 (所蔵No.11157)

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マツダ製品    東京芝浦電気(株)


マツダラジオ 513A 5球スーパー 1950-53年 9,850円

   

 

 東芝の5球スーパーの基本的なスタイルを決めた初期のもの。これ以降七宝焼きのマツダマークが付くことになる。
6WC5-6D6-6ZDH3A-42-12Fという構成。42で12Fは整流管にとってつらいが、コストダウンのためであろう。
平板を簡単に曲げただけのシャーシ、極限まで部品を減らした回路、単純なダイヤルなど、コストダウンに苦心している。
キャビネットの質も低く、コストダウンが品質低下に直結してしまっている。
後のモデルでは”Matsuda”ではなく、”Toshiba"表記になる。

(所蔵No.11234)

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マツダラジオ 518A 5球スーパー 1954年 9,900円

  

TUBES: 6WC5 6D6 6ZDH3A 6Z-P1 12F, 6.5" Permanent Dynamic Speaker, BC 535ー1605kc

1万円を切る定価がつけられた東芝の廉価版5球スーパー。低価格にするために6ZP1と12Fが採用されている。

本機のツマミはオリジナルではない。

掲載誌:東芝通信創刊号(1954.1)

(所蔵No.m11029) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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マツダラジオ 614A マジックアイ付5球スーパー 1953-54年 15,500円

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK-6E5, Permanent Dynamic Speaker, BC 535ー1605kc

 東芝の比較的高級なセット。このような丸型ダイヤルと丸みを持ったキャビネットはこの時期流行したらしく、各社から出されている。
この時代の東芝製品は極端な部品点数の削減を図っていて、信頼性は低い。
また、シャーシを共通化したためにキャビネットのデザインが違うだけの製品が並ぶ商品構成になってしまっている。
同社はこの後高度成長期に経営危機を招くことになるが、この時代の製品にもその問題点が潜んでいるように思われる。

本機のツマミはオリジナルではない。

(所蔵No.11498)

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マツダラジオ 6SC-19  マジックアイ付5球スーパー 1955年頃

 

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK-6E5, Permanent Dynamic Speaker, BC 535ー1605kc

 きわめてユニークなデザインの5球スーパー。回路に、特に特徴はない。
パネルのデザインは「ひまわり」模様という日本風の意匠。
同調以外のツマミはパネルに半分もぐりこみ、側面を回して調整する。
ツマミを外さなくてもシャーシが引き出せるようになっている。

(所蔵No.11547)

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ゼネラル製品 八欧無線(株)


6S-5型 マジックアイ付5球スーパー 1951-52年 卸9,650円

   

 ゼネラルの代表的な5球スーパー。6WC5 - 6D6 - 6Z-DH3A - 42 - 80BK - 6E5 の配列。
パーマネント・ダイナミック・スピーカGENERAL PD-6502 D使用。
すっきりとしているが保守的なデザイン。

(所蔵No.11192) 旧ふくやまラヂオ博物館コレクション

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6S-B1型 プッシュボタン式5球スーパー 1953-54年 18,800円

  

当時ラジオの3大メーカーの一つになっていたゼネラルのプッシュボタン式5球スーパー。
6WC5 - UZ-6D6 - 6Z-DH3A - UZ-42 - KX-80BK の配列で、自社製PD-650型パーマネント・ダイナミックを駆動する。
中波専用だが、民法の開局に合わせて選局しやすくするためプリセット式のボタンを設けてある。
ダイヤルエスカッションの意匠は、アメリカ・ゼニス社の大型ポータブル、トランスオーシャニックのデザインを流用したもの。
オリジナルはオールウェーブである。

裏蓋のラベルはRCAからスーパーヘテロダイン特許の特許料を請求されたことによるもの。
別にRCAから技術導入したわけではない。金を払ったなら宣伝に使えということか。

  
    裏蓋に貼られたラベル。                 取扱説明書表紙 

(所蔵No.11741)

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6S-12型 マジックアイ付5球スーパー 1953-54年

  

 当時ラジオの3大メーカーの一つになっていたゼネラルの5球スーパー。
6WC5 - UZ-6D6 - 6Z-DH3A - UZ-42 - KX-80BK の配列で、自社製PD-650型パーマネント・ダイナミックを駆動する。
ダイヤルエスカッションの意匠は、この年に放送を開始したテレビの画面を模したものになっている。
同社でもテレビを発売していたが、1インチ1万円以上の高価なものだった。
1955年前後にテレビ画面を模したデザインのラジオが各社から発売されている。庶民の夢を少しでもかなえようということだろうか。
裏蓋のラベルはRCAからスーパーヘテロダイン特許の特許料を請求されたことによるもの。
別にRCAから技術導入したわけではない。金を払ったなら宣伝に使えということか。

  
    裏蓋に貼られたラベル。              取扱説明書表紙

(所蔵No.11252)

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サンヨー製品  三洋電機(株)


SS-52A型 プラスチックラジオ 5球スーパー 1952年 8,950円

  

  

 三洋電機がラジオに参入した1号機。新規参入に当たって他社製品との差別化および大量生産のためにプラスチックキャビネットが採用された。
回路は6WC5-6D6-6ZDH3A-6ZP1-12F の普及型5球スーパーの標準的なものである。ST管を使用したプラスチックラジオは珍しい。
プラスチックラジオは前年に松下電器も試みているが、製品も高価で問題があったのか、すぐに木製に戻っている。
三洋電機の社史によれば同社もキャビネットの成形には苦労したという。デザインは米ゼニスG310型のコピーである。
価格は1万円以下に抑えられ、大メーカ製の製品としては当時もっとも安価なセットとなった。
キャビネットの変形を防ぐためか、裏蓋が鉄板で作られている。
本機にも若干の変形が見られるが、初期のSS-52型は問題があったらしく、すぐにこのSS-52Aにマイナーチェンジされた。
緑や赤のカラーバリエーションが確認されている。

(所蔵No.11728)

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SS-48型 5球スーパー 1952年 12,500円

 

 1950年代に入ってからラジオ産業に参入した三洋電機の初期の製品。
6WC5 - UZ-6D6 - 6Z-DH3A - UZ-42 - KX-80BK の配列、自社ブランドを入れた真空管を使用している。
同社の1号機はプラスチックキャビネットを使った意欲作であったがキャビネットの生産に苦労し、本機では木製キャビネットを採用した。
色やデザインが異なる類似機種がある。

(所蔵No.11127)

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SS-53型 (プラスチックキャビ) 5球スーパー  1953年 11,700円

  

TUBES: 6BE6 6BD6 6AV6 6AR5 5MK9, BC:535-1605kc, 6" P.D.SP. (Sanyo SPD-583)

プラスチックキャビネットとmT管を採用した製品としては初期のものの一つ。
アメリカ製品によく似たデザインで、ベークライトを思わせる色だが、軟質プラスチックである。
初期のプラスチックの耐久性に問題があったらしく、上下が若干変形している。
mT管やプラスチックキャビネットのコストが高かったらしく、ST管を使ったモデルより、割高である。

本機は、正面エンブレムの左端が破損して失われている。

(所蔵No.11A007)

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ビクター製品  日本ビクター(株)


7AW-33型 マジックアイ付3バンド6級スーパー 1953年 32,000円

  

 電蓄を除けばビクターの最高級受信機。中波のほかに6-10Mc,11.5-20Mcの短波を受信できる。
標準短波帯6-18Mcを2つに分けて少し広いバンドとした「バンドスプレッド」式にして、操作性を改善している。
6D6-6SA7-6D6-6SQ7-42-80-6E5 という、高一付スーパーで、重要な部分に当時量産され始めたGT管を採用している。
バリエーションとしてデザインがほぼ共通で2バンドの7AW-23型(29,000円)があった。
オールウェーブの物品税率が高かったこともあって、標準的な5球スーパーの2倍程度という高額商品だった。

(所蔵No.11767)

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コロムビア製品  日本コロムビア(株)


R-522型改? GT管トランスレス5球スーパー 1952-53年

  

 日本では珍しいGT管を使ったトランスレス5球スーパー。
12SA7-12SK7-12SQ7-35L6-35Z5 の構成で自社製DS-51型5インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する。
感電を防止するためか、同社製品には通常あるはずのピックアップ端子がない。
このセットのキャビネットは同社の民間放送型スーパーR-522型とまったく同じものだが、この機種は通常のトランス式ST管スーパーである。
5インチの小型スピーカが使われているが、本来の7インチスピーカを取り付けるボルトが残っている。
この時代のコロムビアのラジオは、底板に張られた回路図にしか型番やシリアルナンバーの表示がなく、失われているものも多いが、このセットにはまったく表示された形跡がない。かわりにキャビネット後部と裏蓋に「No.4」の文字がペイントで記入されている。
トランスレススーパーのテストのために作られた試作品の可能性もある。
本来のR-522型は、「民間放送型」の廉価版といいながら14,000円という価格で、松下が1万円程度の「民間放送型」スーパーを販売していたのに対して高価格だった。

本機は、出力管が失われている。

(所蔵No.11046)

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R-524型 5球スーパー 1953年 15,000円 

 

 コロムビアの標準型5球スーパー。6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK の構成で、自社製DS-79型7インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する。
本機は、出力管が6ZP1に替えられている。

(所蔵No.11131)

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オンキョー製品  大阪音響(株)


OS-55型 マジックアイ付5球スーパー 1953-54年

   

 スピーカーメーカとして実績を積んできた大阪音響がはじめてのラジオセットとして発表した1号機である。
同社特許の「ノンプレスコーン」を採用した8インチの本格的なスピーカPD-180型を搭載し、「音の良さ」を強調した独特な製品を投入し、ラジオ産業に参入した。
6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80-6E5の標準的な回路である。
同社はその後、ハイファイブームに乗ってオーディオ性能を重視したラジオを製品化し、スピーカーを中心にオーディオメーカとして発展していく。

(所蔵No.11637-2)

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TEN製品  神戸工業(株)


TEN 5G-60型 GT管5球スーパー 神戸工業(株) 1953年

  

  

 川西機械製作所から改組した神戸工業の小型5球スーパー。
国産化されたばかりのGT管を使ったセット。6SA7-6SK7-6SQ7-6V6-6X5の構成で"TEN VOX"の6.5インチパーマネント・ダイナミックを駆動する。
日本ではGT管を使ったセットは珍しい。

本機は6SA7が6BE6に、6X5が80に改造されている。ツマミはオリジナルではないと思われる。

(所蔵No.11181)

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TEN S-502型 SUPER STAR 5球スーパー 神戸工業(株) 1953年頃

  

 神戸工業は川西機械時代からTENブランドで真空管やラジオを製造してきた。
これはその比較的後期のセット。6WC5 - UZ-6D6 - 6ZDH3A - 6ZP1 - KX-12Fの構成。
小型の普及型セットである。"TEN VOX"の6.5インチパーマネント・ダイナミックを搭載する。
同社は後に家庭用ラジオから撤退し、電子部品とカーラジオのメーカーになっていく。
現在も富士通テンとしてカーオーディオを生産している。

(所蔵No.11295)

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TEN 5S-500型 5球スーパー 神戸工業(株) 1954年

  

 神戸工業の高級型5球スーパー。6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HK の構成で、6.5インチ・パーマネント・ダイナミックを駆動する。
真空管は自社製である。デザインは当時の流行の先端を行くモダンなものである。

本機は、スピーカーグリルの桟が2本折れている。

(所蔵No.11236)

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日立 製品 (株)日立製作所


日立 H-101型 マジックアイ付5球スーパー 1955-57年  15,700円

  

TUBES: 6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80BK-6E5 , 7" Permanent Dynamic Speaker (Htachi Model HS-70)

 日立の大型5球スーパー。日立は、終戦直後にラジオを生産したもののビジネスとしては成功せず、撤退していた。
井戸ポンプや扇風機、照明器具などは生産を続けていたが、民生用ラジオは真空管の生産のみで途絶えていた。
このH-101型は、日立がラジオに再参入したときの1号機である。

(所蔵No.11781)

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ダイヤトーン製品 三菱電機(株)


ダイヤトーン(Diatone) SB-12型 5球スーパー 三菱電機(株) 1954年 14,700円

  

 

 景気回復の中で、重電を中心とする電機メーカは、ラジオから離れていったが、ダイヤトーンスピーカを擁する三菱電機は細々と生産を続けていた。
6WC5-6D6-6ZDH3A-42-80HKの、標準的な構成で、自社製D-62型フィールド型ダイナミックを駆動する。
まだ真空管は自社製ではなく、NEC製を使用している。デザインのセンスは比較的新しい。
これは、三菱電機が自社の販売網を擁して総合家電メーカとして飛躍する直前のセットである。

(所蔵No.11229)

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